東京の表参道や原宿を中心に、吉祥寺、聖蹟桜ヶ丘、福井、経堂に6店舗を展開するヘアサロン「ユーレルム」の高木裕介・代表。2015年には3店舗の出店も考えているという高木代表が目指す今後のサロン経営とは?
WWD Beauty(以下、WWD):経営で大切にしていることは?
高木裕介(以下、高木):一番大切にしているのはスタッフが働きやすい環境を作っていくこと。オープンして2014年で10年目を迎えたが、一時期スタッフが辞めてしまい、経営的にも苦しい時期があった。その時は、僕が率先してヘアメイクの仕事をやっていて、サロンにいないことが多く、スタッフへのフォローができていなかった。それ以降、ヘアメイクの仕事は減らし、なるべくサロンにいて、スタッフをフォローするようにしている。若い美容師の仕事への考え方も10年前と今では変わっている。以前は競争意識も高く、「自分が一番になってやる」という野心家が多かったが、最近は楽しく働きたいと考える人が増えてきている。昔のように厳しく育てて、残った人だけサロンをやるといった経営では成り立たない。技術レベルは落とさずに、スタッフが楽しく働ける環境作りを目指している。
WWD:表参道や原宿だけでなく、郊外にも展開しているが、その意図は?
高木:表参道、原宿でバリバリ働きたい人もいれば、郊外で自分のペースで働きたい人もいて、スタッフが希望する働き方が多様化している。サロンとして、いろいろな働き方の可能性を提示できればと思い、吉祥寺や聖蹟桜ヶ丘、経堂などにも展開。郊外店に関しては代表を他のスタッフが務めていて、新しいフランチャイズにチャレンジしているところ。例えば表参道店ディレクターは、サロンワークは表参道でやりつつ、吉祥寺店の代表を務めていて、経営管理もしている。そうしたケースを増やして、多くのスタッフが自分のサロンを持てる仕組みを作っていきたい。理想は今までになかった個性派デザインサロンと大型チェーン店の中間的な立ち位置。スタッフやサロンの個性を薄めずに、チェーン店のように多店舗展開していきたい。
WWD:サロンの課題は?
高木:「ユーレルム」だけでなくヘア業界の課題だと思うが、クーポン集客サイトに頼らない経営。集客サイトを使うと新規のお客さまは多く来店するが、リピート率が低いのが問題で、常に新規客頼みでサロンを経営していかなければいけない。サロンの基本はいかに既存のお客さまにリピートと紹介をしてもらえるか。そのためには、“集客”という言葉に捉われず、目の前のお客さまを精一杯美しくするという美容師の本質に立ち返る時期だと思う。