世界中の女性を魅了する「マリーエレーヌ ドゥ タイヤック(MARIE‐HELENE DE TAILLAC)」だが、その理由はカラフルで心躍るジュエリーだけではないだろう。タイヤックの飾らない人柄によるところも大きいはずだ。彼女はアレクサンドル・デュマの「三銃士」の着想源となった王室衛兵の直系の子孫であり、名前からも分かるように貴族だ。ところが、彼女の素顔には気取ったところが全くない。リッツォーリ(RIZZOLI)社から出版した書籍「ゴールドとジェムストーン マリーエレーヌ・ドゥ・タイヤックのジュエリー」には、ジャーナリストのヴァネッサ・フリードマン(Vanessa Friedman)やイネス・ド・ラ・フレサンジュ(Ines de la Fressange)などが寄稿し、タイヤックのクリエイションや彼女の魅力について語っている。妹のヴィクトワールは総合美容ブランド「オフィシーヌ・ユニヴェルセル ビュリー(L’OFFICINE UNIVERSELLE BULY)」を夫と運営するなど、姉妹で起業家として活躍。インタビュー前編のクリエイションに続き、ここでは、彼女に幼少時代やライフスタイルについて聞いた。
WWD: どのような子ども時代を過ごしたか?
タイヤック:父の仕事の関係で、リビアで生まれてレバノンなど中東で育った。いろいろな場所にいたから旅慣れているし、各地で博物館によく行った。5人兄弟で、幸せな子ども時代だったわ。姉妹は4人で、とても仲が良くて、姉のソフィーがいろいろなことを企画するのが好きで、よく一緒に遊んだものよ。子どもながらにファッションショーをした時は祖母の洋服を着てドレスアップしたわ。
WWD:ジュエリーデザイナーになっていなかったら何になっていた?
タイヤック:シェフかしら?私が18歳の頃は女性シェフがあまりいなかった。今は女性のシェフもいるけど、ほとんどは男性。父親がフランス人シェフのアンドレ・ダガン(Andre Daguin)と友人で、シェフは女性には大変な仕事だと言っていた。だから諦めたの。仕事にするよりは、家族や友人のために楽しんで料理する方がいいわね。または、ガーデンデザイナーになりたい。田舎の家の庭で花の世話をすると、花が喜んでいるように見える。料理も庭仕事も、とてもやりがいを感じるわ。
WWD:自身のファッションスタイルは?
タイヤック:カラフルで肌ざわりのよいソフト素材の洋服が好き。基本的にスカートが多いわ。フィットにはこだわるから、既製服をお直しに出すこともよくある。母がとてもエレガントな人だったから、その影響でイブニングウエアは大好きよ。あまりカジュアルな恰好はしない。ジムに何を着て行くべきか迷うくらい。ドレスアップするのは大好きで、クリエイティブだし楽しい。服装によって、別人になった気分になれる。ネットフリックス(NETFLIX)のドラマ「クラウン(CROWN)」のエリザベス女王のワードローブを見るのも楽しい。狩りに行くときは「バブアー(BARBOUR)」のジャケットを着てブーツを履いたり、場面ごとにいろいろな衣装に着替えるから。私は特定のブランドにこだわらない。自分のムードに合うブランドを選ぶようにしている。「メゾン ラビ ケイルーズ(MAISON RABIH KAYROUZ)」のドレスはとても美しいと思う。「マーク ジェイコブス(MARC JACOBS)」のユーモアのあるファッションも好きよ。
WWD:ライフスタイルにおけるこだわりは?
タイヤック:朝が大好きだから、ゆったりと時間を取るようにしている。ヨガをしたり瞑想したり、自分のために時間を使うようにしている。ジャイプールでは毎朝泳ぐわ。朝食の時間も大好き。ビジネスをしていると自分でコントロールできないことがあるから、できるだけ午前中は予定を入れないようにしている。
WWD:好きな週末やバカンスの過ごし方は?
タイヤック:常に世界を飛び回っているから、バカンスは飛行機に乗らなくてすむ2カ月間で、田舎の別荘で泳いだり、ゆっくりと過ごすわ。週末はパリにいるときは自宅で過ごすことが多い。できるだけ人混みを避けたいから週末に仕事をして、平日休むこともあるわ。
WWD:世界中で好きな場所は?
タイヤック:美しさからするとイタリアのベネチアね。自然に囲まれているし、光もとてもきれい。感情に訴える面がたくさんあるわ。ニューヨークやロンドン、東京など大都市も好きだけど……。
WWD:人生におけるモットーは?
タイヤック:草間彌生の“ラフ・フォーエバー(LAUGH FOREVER)”という言葉があるけど、私の場合は、それにラブを付けて“ラブ&ラフ・フォーエバー(LOVE & LAUGH FOREVER)”。愛も笑いも、人生においてとても大切なものだと思うから。
WWD:これから新たにチャレンジしたいことは?
タイヤック:変わらなければいけない時だと思う。私のビジネスにおいて、環境や人権などできるだけ考慮していきたい。完璧にサステナブルというのは無理だけど、環境負荷を減らす工夫をしたり、ゴールドをリサイクルしたりできることから始めたい。
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