ファッションとビューティは近くて遠い!?ファッションをこだわる人はあまり化粧に興味がなかったり、逆に化粧にこだわる人はファッショントレンドには敏感ではなかったりして、首から上と下では実はこだわる人が違っている。それは業界人でも同じかも、と思ったのは、弊社のファッションとビューティ、両編集部を見ていたとき。両編集部は隣り合わせの島で仕事をしているにも関わらず、化粧品業界のトレンドを、ファッションチームは全然分かってないことが判明。そこで、ファッション業界の人が知らないであろう、ビューティ業界の2019年のトレンドを5選、紹介する。
クリーンビューティ
ビューティ編集部に行くと、しばしば聞かれた「クリーンビューティ」。きれいなビューティ?と思っていたが、自然・天然成分を原料に用いており、体に害となるような成分を含んでいないというもので、環境に配慮したサステナブルな製品である。というのが大まかな定義とされるが、実際のところきちんと決まった定義はなく、かなりあいまい。ナチュラルブランドとの違いが難しいところだが、「環境に配慮」がポイントのようだ。クリーンビューティブランドとうたう代表的なブランドは「ベアミネラル(BAREMINERALS)」「ドランク エレファント(DRUNK ELEPHANT)」などだ。
“第2の皮膚”戦争
テレビCMでも流れているので知っている人も多いと思うが、19年は化粧品業界にとって“第2の皮膚”もしくは“セカンドスキン”という言葉が飛び交った。代表的なところでは、花王とコーセー。ただ、この2社の機能が違うというのを知っている人は少ないだろう。花王が12月4日に発売した「エスト(EST)」と「センサイ(SENSAI)」の“第2の皮膚”はスキンケアであるということ。ファインファイバー技術(積層型極薄膜形成技術)を具現化した高性能小型ディフューザーに化粧液を入れて夜、肌に吹き付けて就寝。翌朝、そのベール(膜)をはがすと美肌力がアップするものだ。
一方のコーセーが20年からサービスを実施するパナソニックとの協業による「スノービューティーミラー」は、肌のシミなどを“隠す”シートだ。鏡の前で顔表面の色、状態を分析することで極薄膜のカスタマイズシートを作る。つけた後、自身の肌と同化しどこに貼ったかは全然分からないのが特徴で、話したり笑ったりしても寄れたりせず、貼っていることを忘れるぐらい自然だという。将来的に皮膚疾患の人に向けた医療領域もカバーする予定だ。
CBD化粧品
「CBD」は、大麻に含まれる成分カンナビジオールの略称で、抗炎症効果やリラックス効果が期待できるもので、多くの化粧品に配合され話題だ。アメリカでは賛否がありながらも市場は活況。18年には高級専門店からマス市場にまで広がっている。日本ではマリファナの有効成分であるTHC(テトラヒドロカンナビノール)が0.01%でも含まれていると取り扱えないが、THCが一切残留しない製品も作られており、スキンケアオイルやクリームなどが輸入されたり、日本でも製品化が進んでいたり、ヘアサロンでも使用されている。ただ最近では、配合内容の見直しから発売中止を余儀なくされた例もあるなど、今後はその動向に注意が必要だ。
ミニサイズコスメ
19年、多くのブランドがミニサイズを発売した。資生堂が18年に若年層に向けミニサイズで価格を抑えて提案するシリーズ、その名も「SHISEIDO ピコ」を発売。ドラック・バラエティーショップブランド「フジコ」や「アネッサ(ANESSA)」といった日焼け止めでもミニサイズが誕生した。今年は「M・A・C」や「スック(SUQQU)」「ジョルジオ アルマーニ ビューティ(GIORGIO ARMANI BEAUTY)」「オフィシーヌ・ユニヴェルセル・ビュリー(OFFICINE UNIVERSELLE BULY)」など多くのブランドがコフレにミニサイズを入れて訴求。ミニサイズにすることで、化粧品の問題点だった使い切りがしやすいという利点が。また、価格も抑えられており人気が集まった。
元美容部員 和田さん。
「元美容部員 和田さん。(以下、和田さん。)」は、元美容部員で、美容系ユーチューバーとして91万以上のチャンネル登録数、インスタグラムのフォロワー数は19万(2019年12月24日現在)を誇る。18年8月の取材で29万チャンネル登録数、インスタグラム4万5000とあるので、1年で3、4倍の伸びだ。的確なメイク術と分かりやすさが幅広い女性から支持を集めている。PRではなく、彼女が紹介した商品は爆発的に売れて、ブランドの認知度もアップ。ブランド側も「なぜこの商品が売れたのか追跡すると、和田さん。に行き着いた。嬉しい限り」と語る。12月には和田さん。初のプロデュース商品であるカラコンが発売になった。現在はCチャネルから独立し個人事務所を設立している。