ファッション

ハイジュエリーが急成長の「ブルガリ」トップに聞く好調の理由

 創造力と知性に溢れる輝く女性たちをたたえる「ブルガリ アウローラ アワード 2019 (BVLGARI AVRORA AWARD 2019)」の表彰式が12月10日、千葉・舞浜アンフィシアターで開催された。同アワードは16年にスタートし、今年で4度目。女優の小雪や小説家の川上未映子、現代アーティストの塩田千春らが受賞した。表彰式のために来日したジャン・クリストフ・ババン(Jean Christophe Babin)=ブルガリグループ最高経営責任者(CEO)にビジネスについて話を聞いた。

WWD:「ブルガリ」のジュエリー、ウオッチ、レザーグッズの売り上げ比率と年商の前年比は?

ジャン・クリストフ・ババンCEO(以下、ババン):全体の売上高の3分2がジュエリー、残りがウオッチとアクセサリーだ。年商の前年比は2ケタに近い1ケタ増。「ブルガリ」ではジュエリー、特にハイジュエリーが急成長しており、それが他のカテゴリーを形作っている。だから、これからもジュエリーに投資をしていくつもりだ。

WWD:2019年の各カテゴリーにおける動向は?

“セルペンティ” “ディーヴァ”といったアイコン商品に加え、“フィオレヴァー”が好調。色石で知られる「ブルガリ」だが、“フィオレヴァー”はダイヤモンドを使用したクラシックなデザイン。大きなセンターストーンを取り巻く花びらはかすかに動くようになっており、ブライダルの代替品として購入されるケースもある。ウオッチでは、ウオッチとジュエリーの間のような存在だった“ブガス”を日常的に使えるデザインに進化させた“セルペンティ セドゥットーリ”が登場。日本では藤原ヒロシとのアクセサリーのコラボレーションが成功し、来年春には第2弾が登場する。

WWD:日本市場の状況は?

ババン:中国からの訪日客はもちろんのこと、日本人客の売り上げも好調。日本と中国は「ブルガリ」にとって最優先の重要な市場だ。

WWD:各カテゴリーにおける課題と戦略は?

ババン:全カテゴリーに共通することは、「ブルガリ」というブランドをさらに高めること。現代の顧客にアピールするクリエイティビティーとクラフツマンシップに裏付けされた商品はもとより、ブティックやウェブサイト上での体験を向上させる。ブティックでは、商品に秘められたストーリーやクラフツマンシップ、インスピレーションなどを伝える。若い世代は、商品がどのようにデザインされ製造されたかに高い関心があるから。ECはブランドを発見するプラットフォームであり、オンライン上でのアポイントメントなどを通して店舗へ送客する役割も果たす。店舗とECを結び付けたオムニチャネルのショッピング体験を提供する。22年には東京にも「ブルガリ ホテル」ができるが、ホテルを通してユニークな体験を提供する。ホテルは、ロビーやレストラン、客室、サービスなどあらゆるエモーションに訴えかける要素を持っている。ある意味、各国における「ブルガリ」の大使館的な役割を果たすものだ。

WWD:独自でハイジュエリーの発表を行っているが、その効果は?

ババン:以前は多くのジュエラーが「パリ・アンティーク・ビエンナーレ(LA BIENNALE PARIS)」で新作を発表していたが、今はどのブランドも出展していない。それが効果的だと思わないからだ。多くのブランドの中の一つとして新作発表するよりは、「ブルガリ」単独でイベントを開催する方が好ましい。われわれ独自で開催するイベントで数日間顧客と友好的な時間を過ごすことで、、商業的な意味を超えた親密な関係を築くことができる。ハイジュエリーの販売には時間がかかる。まず、顧客との信頼関係を築き、年々それを深めていくことが重要だ。われわれにとってハイジュエリーは急速に成長しているビジネスだ。「ブルガリ」は、ジェットセットや社交界の人々に支持されるイタリアの“甘い生活”を象徴するブランド。イベントでは、新旧の顧客の交流も生まれる。もちろん各国でハイジュエリーのイベントを開催し、日本では百貨店の外商と組んで販売をしている。

WWD:日本企画でアクセサリーのコラボレーションを行ったがその成果は?

ババン:日本では特に、日本人のアーティストなど地域性が反映されたコラボレーションの人気が高く好調だ。日本国内限定ということで、欧米からの訪日客による購入も見られる。他の市場からもコラボレーションをしてほしいという声がある。

WWD:各カテゴリーの売れ筋アイテムと中心価格帯は?

ババン:アクセサリーは“セルペンティ”バッグが人気で、中心価格帯は2000ユーロ(24万2000円)程度。ジュエリーは、“ディーヴァ”“セルペンティ”“フィオレヴァー”と“ビー・ゼロワン”で3000ユーロ(36万3000円)程度。今年誕生20周年だった“ビー・ゼロワン”の売り上げが絶好調だった。ウオッチは“ブルガリブルガリ”や“セルペンティ”。メンズでは“オクト”が好調で、ウオッチの中心価格は8000ユーロ(96万8000円)程度。

WWD:LVMHモエ ヘネシー・ルイ ヴィトン(MOET HENNESY LOUIS VUITTON以下、LVMH)の傘下に「ティファニー(TIFFANY&CO.)」が入るが、それに対する見解は?

ババン:「ティファニー」はアメリカのラグジュアリーブランドでブライダルが強い。「ブルガリ」は色石が強く、特にアジア市場で人気が高い。2つともメジャーなジュエラーだが、顧客が異なるので競合にはならない。LVMHにとっては、イタリアの「ブルガリ」、フランスの「ショーメ(CHAUMET)」などにアメリカの「ティファニー」が加わることでブランドのポートフォリオが強化されるはずだ。

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