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連載 ファッションラバーもハマる女の「サ道」

ファッションラバーもハマる女の「サ道」Vol.3 年末復活の「サ道」を思いサウナイベントへGO

 空前のサウナブームに沸く日本列島。いまや、おじさんだけでなく若者にもサウナ文化が定着し、女性サウナーの存在もチラホラ。その背景には、タナカカツキによる伝説の漫画「サ道」のドラマ化や、「湯遊ワンダーランド」「極上! サウナめし」などが大きく影響しているのだとか。ビジネスマンからファッションラバーまで、慌ただしい日常に癒しを求めサウナに集まる人たち。人はいったいどんなきっかけでサウナにハマり、何を得るのだろうか。

 日に日に寒さが増すこの時期、サウナ愛好家はもちろん、そうでない人にとってもサウナを楽しめるベストシーズンがやってきました。ヘビーユーザーのわたしは、サウナの歴史ロマンを巡るべく、今年は東北から九州まで約50の温浴施設に足を運びました。当然のことながら、サウナーにとって何を優先順位に置くかは人それぞれ。サウナ室の温度、水風呂の水温、外気浴スペース、マナーが悪い人の有無、最終的に“ととのう”かどうか、がゴールになってきます。身体を火照らせながら己の煩悩と向き合うことが真の“サウナ道”なのだと。でも、何かひとつ物足りない……、もしかしてサウナに対するマンネリ化が原因なのではないか……。

 その悩みをあっさり解決してくれたのが、サウナーによる数々のコミュニティーでした。この1年、“サ活”を通して人見知りのわたしにも遂に新しいサウナ友達ができたのです!最近は大自然に恵まれた環境でサウナを楽しむイベントが増えており、関連企業が一挙に集結する「SAUNA FES JAPAN/サウナ フェス ジャパン」をはじめ、デザイナーや映像作家、イラストレーター、プログラマーによって結成された「TENT SAUNA PARTY/テント サウナパーティ」など、これまでとは一味違うアウトドアスタイルがブームに。開放的な空間でフレッシュな汗を流しながら、ひたすら互いのサウナ愛について語りあいます。仲間がいるだけでモチベーションが上がり、いつもは10分で燃え尽きるところ、気がつけば12分もサウナ室に!なんてことも。結果、効率よく汗を流し“ととのう”ことができたのです。

 まさに、それを体現しているのが、ドラマ「サ道」でした。特筆すべきは第10話。会社でも家庭でも居場所のない男、荒川良々演じる村田が主役の物語で、「サウナの話をする友達もいない」と嘆く彼に、はじめてサウナ友達ができた瞬間を描いたものでした。そんなサウナ界を熱くさせたドラマ「サ道」が、お茶の間に戻ってきます。12月28日(土曜日)放送予定の「年末SP 北の聖地でととのう」は、北海道・上富良野町が舞台に。原田泰造演じるナカタはどんな出会いを経て、新たな“ととのう”を得られるのでしょうか?

 番組に先駆けて12月25日まで、東京スカイツリータウン4階のスカイアリーナで、ドラマ「サ道」とコラボレーションした、ミライ型サウナエンターテインメント「SKYTREE SAUNA(スカイツリーサウナ)」が開かれました。番組同様、レギュラーメンバーの人数にあわせ、1枠3人限定の貸切・事前予約制(一組9000円)で、友達や家族と一緒に水着でサウナに入りながら、スカイツリーを目の前に極上の“ととのい”を堪能することができます。同イベントでは、テクノロジー × サウナをテーマに各パートナー企業の協力のもと、サウナの未来予想図も提案。AI水循環システムを用いた「ウォータ(WOTA)」は、98%以上を再利用できる水循環システムを導入し、アウトドアサウナをはじめ、水道インフラが困難なシチュエーションにも貢献。なんと100リットルの水で、約100人がシャワーを利用できそう。スマホ充電器サービス「チャージスポット(CHARGE SPOT)」は、温浴施設でモバイルバッテリーをレンタルし、他の施設でも返却できるというもので、サウナ巡業にピッタリなサービスです。また、クラウド型予約管理システムを提供する「テーブルチェック(TABLE CHECK)」は、オンラインで温浴施設の事前予約がスマートに。独創的な照明をプロデュースする「エアスター(AIRSTAR)」は、ライティングファニチャーを提供。フードコートではドラマに登場した、上野・サウナ北欧の「北欧カレー」を堪能することも。イベントをプロデュースした「ティーティーエヌイー」のサウナ師匠こと、秋山大輔は「未来を象徴する東京スカイツリーの下で、新しいサウナの提案・可能性を引き出したかった。あくまで3人一組というのもドラマの世界観を楽しめるキモになっている。また、最新テクノロジーを導入することでエントリー層にもサウナの多様性をアピールしたかった。サウナのエンタメ化によって女性も楽しめる空間を演出している。最終的には減少し続ける銭湯施設の貢献につながれば」と熱い想いを語ってくれました。

 サウナカルチャーはファッション業界にも既に浸透しており、東京発の人気ブランドやクリエイターが集結した期間限定イベント「ザ・サウナ テン」がつい先日開催されたばかり。第一弾となる今回は、「ノン トーキョー(NON TOKYO)」「ベンチ(BENCH)」「サウナボーイ」「ゆにいく」、「スーベニア(SAUVENIR)」の5ブランドがサウナグッズを販売。アーティストのイシバシユミによるシルクスクリーン作品の展示など、サウナをインスピレーション源にしたスペシャツなコンテンツをお披露目しました。“ととのいスポット”では記念撮影ができたり、自分の好きなサウナスポットをステッカーに書き記したマイフェイバリットサウナコーナーも常設。レセプションではサウナ飯と題して、「麺散」の出汁巻きドッグや「トゥエンティ フォー ミルクコーヒー(TWENTY FOR GOOD MILK COFFE)」のオリジナルコーヒー牛乳が振るまわれ、風呂上りの一杯を堪能すべく、腰に手を当ててグイッと飲み干す来場者も。メーンビジュアルは渋谷・改良湯で撮影したのだとか。「サウナの入り方や愛し方、表現方法は人それぞれ。ここはあくまで自由にサウナ愛を語る場所。第一弾は単純にサウナを愛している人たちと一緒に楽しい催しを提案したかった。同イベントを通してコミュニティーの輪をさらに広げていきたい。第二弾も予定している」と主催者のサウナ愛もひとしおです。

 熱い箱のなかでは、それぞれのバックグラウンドなんてどうだっていい。一人サウナ巡業を楽しむのも良いけれど、ときには誰かと語りあいたいときもある。わたしにとってサウナは、今や人見知りという心の壁をも取っ払ってくれる場所に変わりつつあります。さらに、サウナーとのコミュニティーによって新しい時代におけるインプットとアウトプットの学びを得られることも。“サウナは一日にしてならず”というのは大袈裟かもしれませんが、冬休みを利用して温泉に行くも良し、近所の銭湯でたっぷり汗を流すも良し、肉体と精神の浄化とともに2020年に向け、サウナで新しい出会いと学びのヒントを見つけてみてはいかがでしょうか?

尾竹めぐみ:ファッション・エディター、ライター。大学卒業後、ボストンへ留学。帰国後はファッション誌「オーリーガールズ」編集部で、ストリートスナップを担当。2005年からリットーミュージックが発行するファッション&クラブカルチャー誌「ルイール」で、海外アーティストの取材やセレブゴシップ特集に力を入れる。12年、INFASパブリケーションズに入社し、季刊誌「WWD マガジン」、ファッション週刊紙「WWD ジャパン」で経験を積む。現在、フリーランスとしてファッションウェブ媒体を中心にエディトリアルからライティングまでを手掛ける。趣味はネットフリックスと日本全国のスーパー銭湯めぐり

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