※この記事は2019年8月21日に配信した、メールマガジン「エディターズレター(Editors' Letter)」のバックナンバーです。最新のレターを受け取るにはこちらから。
新CEOはコンデナストをどう蘇らせる?
いよいよ新生コンデナストが始動していますね。「ヴォーグ(VOGUE)」を擁する名門出版社、コンデナストの米国とインターナショナルの経営統合、そして黒字化という世紀の難題に挑む異業種からの新グローバルCEO、ロジャー・リンチ(Roger Lynch)氏の采配やいかに。
どうやらリンチCEOはトップダウン型ではなく、コミュニケーション重視のボトムアップ型のようですね。旧コンデナストでは媒体ごとに会合があっても、全社で集まるということはほぼなかったそうで、従業員が一番気になっているリストラネタに触れつつ、質問を募って答える姿勢は信頼を集めたことでしょう。「問題があることを認識して話し合わない限り、それを解決することはできない」――おっしゃる通りです。
とはいえ、売り上げの半分以上を占める米国が2年前に100億円以上赤字だったって、なかなか危機的数字です。再生の鍵を握るのはデジタル化と動画。衛星放送やテレビのストリーミングサービスで経営手腕を発揮してきたリンチCEOのもっとも期待されているところで、今回は「動画事業を10億ドル(約1060億円)規模に成長させたい」と明言しています。すでに「ヴォーグ」はセレブリティーやメイクのチュートリアル動画などを公式サイトに多数収めており、そこに広告も入れています。ユーチューブでも約600万の登録者を抱えており、このあたりを強化するのか、それとももっとドラスチックな戦略が控えているのか楽しみなところです。
そもそも誰もがコンテンツを作れるようになり、さまざまなプラットフォームで発信できるこの時代、出版社の役割自体が問われています。出版社の既成概念にとらわれないリンチCEOが最強モード誌「ヴォーグ」やメンズ誌「GQ」をどう導くか。アジアに注力も明確なので、ジャパンの動きにも注目してまいりましょう!
面白いのは、この会合の様子について米「WWD」はその録画を入手して記事を書いた模様。米「WWD」は1999〜2014年に米コンデナストの傘下でしたので、今後も子細なリポートが期待できそうです。
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