ビューティ

時代を映し出す口紅、2019年は多様性に合わせバリエーション豊かなカラー

 2019年もまもなく終わります。春には「シャネル(CHANEL)」が、秋には「イヴ・サンローラン(YVES SAINT LAURENT)」や「ジバンシイ(GIVENCHY)」から新作の口紅が登場し、「ナーズ(NARS)と「シュウ ウエムラ(SHU UEMURA)」は既存アイテムが進化するなど、今年もメイクアップの主役は口紅で、多くの注目を集めました。カラーは、赤茶色、バーガンディーが中心ながらもバラエティー豊かなカラーバリエーションが特徴でした。多様性が取り上げられる時代の潮流をも感じる、今年の口紅。各ブランドが今年発売した口紅の人気カラーとともに今年を振り返ります。

 今年は2つの新ルージュを発表した「シャネル」。とりわけ印象深いのは、春のパワフルなビジュアルとともにデビューした「ルージュ ココ フラッシュ」。「自由に色遊びを楽しむことができ、私に似合う!と思えるカラーを絶対に見つけて頂けるよう、カラーバリエーション豊富なラインアップとなっています」と関菜美子シャネル デジタルPR & ソーシャルメディア コーディネーターが述べる通り、ヌード、オレンジ、ローズウッド、ピンク、インテンス ピンク、レッド、プラム、ダークトーンなど魅力溢れるカラーがそろった。「ルージュはブランドにとってのアイコンです。アイコニックなケース、全ての女性のニーズを満たす豊富なテクスチャーとシェード。女性一人一人の個性と魅力を最大限に引き出します」という。

 唇のpHによって変化する口紅など、これまで革新的なアイテムを発表し続ける「ジバンシイ」。今年8月発売の“ルージュ·ジバンシイ”シリーズは、“絶対口紅”をうたい文句に絶対的な美を宿す力を口紅に担わせ、「ルージュ·ジバンシイ」「ルージュ·ジバンシイ·ベルベット」「ルージュ·ジバンシイ·ノワール」の3種、それぞれ6色を展開した。「服を着替えて自分のイメージを変えるように、口紅の仕上がり、ケースにも、バリエーションをそろえました。また、色についてはむやみに多く展開せず、ブランドにリンクする色――3種類のリップから厳選した各6色をラインアップしました」と佐藤香恵パルファム·ジバンシイ PRマネージャー。加えて、「永遠のテーマ、エレガンス・強さ・大胆・官能。そのDNAを継承しながら現代的に昇華させたメイクアップためのキーとなるのが口紅です」と語った。

 「イヴ・サンローラン(以下、YSL)」は、9月に新ルージュを発表した。12のカラーバリエーションについて、トム・ぺシュー(Tom Pecheux)=イヴ・サンローラン・ボーテ グローバルビューティ ディレクターは、「僕はあらゆる⼥性、お客さまが満⾜できるようなカラーレンジにしたかった。いつもとはちょっと違う⾊を試したくなったり、似合う⾊との新しい出合いのきっかけになったりするようにね」と述べ、つけやすいヌードカラーも加えられています。マットフィニッシュの概念を刷新する未体験の“シースルーマット”が誕生した背景には「洗練されたマットリップをメイクアップに取り入れたい、という声がありました」と話す、井上愛イヴ· サンローランPRコーディネーター。滑らかで軽いつけ心地の新作は、ソフトな“シースルー”で透けるように発色するのが最大の特徴。これまでも口紅のトレンドを力強く支えてきた「YSL」は来春について「シックなムードで、グリッターがワンストロークできらめき、トレンド顔に仕立てるカカオブラウン系をはじめとする豊かなカラーラインアップで、ヌードからディープまでそろう。中でも限定の3色はトップコートとしてカラーをミックスすることでクイックチェンジも!2020年2月に発売する新ルージュに期待してください」。

 アーティストブランドとして個性美の創造と感動を伝えたい。その思いを具現化する、2つの“ルージュ アンリミテッド シリーズ”を9月に発表。シリーズで155色をラインアップしました。田村未央ロレアル リュクス事業部 シュウ ウエムラ事業部 シニア プロダクトマネージャーは、「アジア人の肌になじみ美しく魅せることを追求した結果、6タイプの異なるテクスチャーの全155色です。特に、ブランドのDNAカラーである赤は、鮮やかさから深み、ウオームからクール、タイムレスからエッジの効いたものまでさまざまな色調をそろえる。33色もの赤を生み出していて、心地よく自分に似合うカラーに出合っていただけるのはもちろん、遊び心のあるカラーなどリップメイクの無限の可能性を楽しめます」と話す。来シーズンのトレンド、レッド系やオレンジ系については、「赤は情熱的なイメージで、感情や行動力をポジティブに促すような高揚感を誘うカラー。オレンジは、明るくフレッシュなイメージで期待を感じることができます。変化が激しい時代のなかで自分らしく大胆に一歩踏み出すエネルギーを表したカラーと思うのです」。

 クリエイティブディレクターの重責を担うフランソワ・ナーズにとってリップカラーとは、タイムレスなアイテム。NARS誕生25周年を迎えた今年、デビューを支えたアイテムでもある口紅が刷新されました。福島まどかNARS JAPAN PRマネージャーは「赤、ヌード、ソフトピンク、ペールピンクなど、どんなときも女性は魅力的な色を愛していると信じています。それは、ファッションと同様にリップスティックはその日の気分に合わせて選ぶ楽しく気軽なもの、そして気分を高揚させるものでもあるからです」といいます。今秋発表されたリップスティックは、中でも絶妙な光沢感を放つ赤茶色に人気が集まったそう。来年は「限りなくシアーでライトな仕上がりのリップ。2020年は“シアー”がムードになる予感で、唇だけでなく肌もシアーで透明感あふれるみずみずしさが目立つことが予想されます」

渡部玲:女性誌編集部と美容専門の編集プロダクションに勤めた後、独立。2004年よりフリーランスの編集者・ライターとして雑誌やウェブなどの媒体を中心に活動。目下、朝晩のシートマスクを美容習慣にして肌状態の改善を目指している

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