2020年はいよいよ、東京オリンピック&パラリンピック!!スポーツやウェルネスに対する意識は高まるばかりですが、そんな中でレザー、つまり皮革って、どう思うでしょうか?正直、「縁遠い」ですよね。汗をかくスポーツの世界はジャブジャブ丸洗いできる機能性素材がありがたいワケで、シミができそうなレザーはちょっと……。そう考えるのがフツーです。
そんなツマらない考えに、異を唱える団体があります。日本皮革デザイン促進委員会。日本の大手バッグメーカー、クイーポの岡田國久・創業者が2015年に設立した団体で、乱暴に言えば、「日本のレザーブランドも、もっとオシャレにならなくちゃ!」という夢を掲げています。コンサバだった日本の皮革関連業者が集い「創悦」というブランドを手掛けていますが、この団体が、フツーを一蹴するユニークなコレクションを発表してくれました。“お堅い”方々が、こんなにユーモアたっぷりの商品を、クオリティーはそのままに提案するなんて!!10年前にはバッグ担当として「変わりたいけど、変われない」業界を見つめ、エールを送っていた僕にとっては感涙モノです。
「創悦」は16年から江戸時代の浮世絵師、葛飾北斎を題材とした商品を手掛けており、今回のスポーツ・コレクションにも彼のイラストが散りばめられています。例えば「庭球」、つまり「テニス」という文字を大胆にのせたトートバッグ(4万2000円)には、北斎によるテニスをしている男性2人のイラスト……!?無論、江戸時代にテニスなんてなかったワケで、よくよく目を凝らすと軍配を持っている男性2人のイラストを北斎の絵手本「北斎漫画」から正当な権利を得て拝借しているのですが、「庭球」の文字と組み合わせたせいか、もうテニスをしている2人にしか見えません(笑)。「野球」のトートバッグには、今まさにピッチャーから放たれたボールを打ち返そうとしている男性がいますが、手に持つのはバットじゃなくて木刀(笑)。「よく、こんな近似的イラストを見つけてくるモンだ」と感心します。
アートピースは、さらに「はぁ〜(笑)」と感嘆することしきりです。ボクシングベルトをイメージしたボディバッグ、今すぐハンマー投げのように放り投げたくなる球体バッグ、極め付けは総レザーの水着!!何一つリアルではありませんが、コンサバな日本のメーカーが、頑固そうな職人と一緒に、こんな破天荒なアイテムを作っちゃった覚悟が素敵なのです。
もちろん、クルリと巻いたらメガホンになるレザーパーツや、なんだか座席がショボいらしい新・国立競技場にぴったりのクッションなんて実用的なアイテムも。日本の職人が丹精込めて作ったレザーグッズで、日本でのオリンピック&パラリンピックを観戦という“粋”を味わいたいなぁと思わせます。