2019年のインナービューティ市場を席巻したプロテイン。これまでは粉末タイプやスナックバータイプが主流でしたが、20年は日常の食事や間食にプロテインを“忍ばせる”スタイルが流行しそうです。各企業はさまざまなプロテイン配合食品を開発しており、栄養価はもちろんのこと、風味や食べ終わった後の満足感にも着目した製品が続々と登場しています。
おいしくて満足のプロテインカレー
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19年8月から「プロテインカレー」(2種、各520円)を発売している日成共益は、もともと食品輸入などを手掛ける会社です。近年のプロテイン人気と自社の知見や調達網を生かし、消費者向けの自社ブランド「オリオノ」をスタート。その第1弾商品としてプロテインを各20g配合したレトルトカレーを作りました。「プロテインは味に独特のクセがあるので、スパイスを多用するカレーは向いていると考えた」と同社担当者は語ります。グリーンカレーにはカルシウムも豊富な乳たんぱくを、キーマカレーには豆の風味を生かしたエンドウたんぱくを配合しています。現在は取引先のウェブショップなどで取り扱っていますが、今後は認知度を高めるとともに販路拡大にも力を入れ、小売店やスポーツクラブなどでの取り扱いも目指しているそうです。
ゴクゴク飲めるプロテインウオーター
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日常で定期的に摂取する水とプロテインを掛け合わせるなど、スタートアップ企業の取り組みも活発です。キッカスアンドカンパニーは、欧米では定番のペットボトルタイププロテイン「ハイプロテインウォーター マーブ」を18年から公式サイトを中心に発売しています。女性向けに作った第1弾製品シリーズの「ピンクレモネード&ラズベリー」(330円)は発売から1週間で完売したほか、ナチュラルローソンでの取り扱いが始まるなど高い反響がありました。それを受けて、1月下旬から第2弾製品「マーブ・ラッシュ ソルトライチ&グレープフルーツ」(330円)を発売。女性向けの第1弾を男性も愛飲していたことから、男性をターゲットに開発しました。アスリートや専門家の声を反映し、スポーツドリンクのように飲める点が魅力です。
間食のスイーツにプロテインアイス
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マッシュビューティーラボが日本で展開するカリフォルニア発のオーガニックアイスクリームブランド「スリーツインズアイスクリーム」も、プロテインにこだわって作った「スリムツイン」を19年12月から直営店や明治屋などの小売店で発売しています。“低糖質、高プロテイン、トランスファットフリー”が特徴で、フレーバーはバニラ、チョコレート、カルダモン、レモンクッキーの4種。ホエイプロテインを配合していて、それぞれ22〜24gのタンパク質が摂取できます。
夜の1杯はプロテインビールで
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20年は“運動のあとのビールでもボディーメイク”が可能になるかもしれません。まだ日本では取り扱いのないプロテインビールの国内展開を目指しているのは、ボディーメイクフードを手掛けるマッスルデリ。19年11月にクラウドファンディングをスタートさせたところ、開始2日で目標の50万円を達成し、最終的には当初目標の2倍を超える123万円が集まりました。同社が注目した製品は1本で21gのプロテインが摂取できるドイツ発の「ジョイブロイ」。正しくはノンアルコールビールですが、柑橘系のフルーティーな味わいのあとにビールらしい苦みも感じられます。「プロテインビールを日本に輸入できるようになった際には、我慢ばかりのボディーメイクやつらい食事制限のあるダイエットの概念を払拭し、食事や飲み会も普段通り楽しみながら、体づくりを実現できる環境を実現したい」と同社。その日が来るのが楽しみです。
マッスルデリによると、プロテインの市場規模は2013年以降毎年2ケタ増で拡大しており、19年は16.7%増の480億円。東京オリンピック・パラリンピックが開催される20年はスポーツ熱の高まりとともに急成長を遂げる可能性を秘めています。しかしどんなに体によいものでも、おいしく摂取できなければ続かないもの。日常に溶け込む“忍ばせプロテイン”は、プロテイン摂取定着のカギとなるかもしれません。