「ローブス(ROBES)」は月額7800円からで、毎日着る服を春、夏、秋、冬のシーズンごとに届けるメンズ向けのサービスだ。購買から日々の着回し、季節ごとの衣替えまで、衣服の消費体験を一気通貫でサポート。2019年の10月16日にローンチして以降、ユーザー数や取り扱いブランド数を着実に増やしている。同サービスを手掛けるのは23歳の起業家、藤原光汰ローブス代表取締役兼CEOだ。「ファッションにそこまで興味はない。でも何でもいいというわけでもない。そういった人のために立ち上げた」と語る藤原代表兼CEOへのインタビューから、同サービスの可能性を探る。
WWD:サービスの仕組みは?
藤原光汰ローブス代表取締役兼CEO(以下、藤原):まず、ユーザーの方に普段着る服のサイズを教えてもらい、それをもとにオフィスカジュアルやフォーマルなど、いくつかのシチュエーションに応じて弊社のスタイリストが考案したコーディネートセット(3~10日分)を提案します。後は提案されたコーデを選ぶだけでアイテムが届きます。その後は季節の変わり目に「ローブス」側からアナウンスをして、衣替えをしてもらう流れです。前シーズンのアイテムで気に入ったモノがあれば手数料をいただいて購入という形にし、それ以外のアイテムはそのまま当社に送り返してもらっています。シーズンを重ねるごとに、ユーザーさんの趣向などにパーソナライズをしていくつもりです。
WWD:どういったブランドのアイテムを取り扱っている?
藤原:ベイクルーズさんの「ベーセー ストック(B.C STOCK)」や「フリークス ストア(FREAK'S STORE)」、「ナノ・ユニバース(NANO UNIVERSE)」など、「ゾゾタウン(ZOZOTOWN)」のランキングでトップに入るようなブランドを中心に取り扱っています。現状、まだ取り扱い数は少ないですが次の春までには大手セレクト系のブランドが大体入っている状態にしたいですね。誰もが知っている、もしくは聞いたことがあるブランドを中心に取り扱うことでユーザーに安心感を提供したいと考えています。
WWD:メンズに特化している理由は?
藤原:メンズは流行に左右されづらいからです。企業側としては毎シーズン新しい商品を出さなければいけないけれど、流行に左右されづらいメンズ領域のユーザーとしては最新のモノか否かを重視していない人の方が圧倒的にマスだと考えています。要は需要と供給のバランスが崩れている。「ローブス」で取り扱っているブランドのアイテムも基本的にはキャリー品(シーズン、販売期間は過ぎたがまだ売り続ける商品)の中でも、シンプルで普遍的なアイテムが中心です。
WWD:そもそも、「ローブス」を立ち上げた経緯は?
藤原:まだ世の中にない新しいサービスを作り、人々の生活において当たり前になるくらいに成長させたいとずっと考えていて。「レキピオ」というAIレシピアプリを作ったり、BANKに入社したりしたのもそのためです。ただ、これまでに関わってきたサービスは、僕自身はターゲット層ではなく、ユーザーの悩みや課題に関して自分ゴト化しづらかった。だったら自分が感覚ベースでも判断できるような欲しいサービスを作り、世の中のニーズにも合致すれば一気に広がると考えました。
「ファッションに興味がない」からこそ生まれた
WWD:「ローブス」は自身のファッションに関するニーズから生まれたということか?
藤原:そうです。僕が今着ているウエアも全て「ローブス」で提供しているモノです。正直、僕はファッションに興味がないし、あまり購入もしない。ファッションの市場規模においても、ウィメンズが5.5兆~6兆円くらいある一方で、メンズが2.5兆円程度なことを見ると、世の中の男性の多くが僕と同じなのではないかと。でも、興味がないからといって、何でも良いというわけではない。ある種の“正解”のようなモノが欲しい。「ユニクロ(UNIQLO)」をみんなが着るのも、そういった背景があると思います。だから「ローブス」では「ユニクロ」よりはちょっと上で、ユーザー個人では想像できなかったことを何も考えずにできるようにしようと考えています。
WWD:「ローブス」は一見、メンズ服のレンタルサービスのようにも見えるが?
藤原:レンタルというよりは、“服の消費をとにかく簡単にする”というコンセプトで運営しています。服の購入からコーディネート、シーズンごとの衣替え、そして要らなくなったものの処分など、消費行動は多くのプロセスでできている。こういったプロセスを部分部分で解決するサービスは出てきていますが、「ローブス」は全てを一気通貫で完結できるようにしています。ユーザーから戻してもらった着用済みの服はBANKの「CASH」と同じスキームでいろいろな企業に売っており、当社が在庫を抱えないようにしています。
WWD:10月にローンチしてから2~3カ月が経ったが、現状の手応えは?
藤原:利用者はある程度増えてきていますが、もうちょっと増えて欲しいですね。個人的に面白かったのは、ユーザーが30代以降の方が多いこと。もともとは20代後半がボリュームゾーンだと考えていたので、ちょっと意外でした。実際にユーザーの方に実際に会ってヒアリングもしているのですが、仕事を頑張っていて、責任のある立場の人が多いです。社会人になってスーツが主軸になりバリバリ仕事をする中で服のことなんて忘れていて、仕事がふと落ち着き、服に興味を持とうとしたけれど、何を着たら良いのか分からなくなっていたという人もいました。ほかには社内の立場がある程度上がったことで周囲から見られることが増え、服に気を使わなければいけないといった声もありました。
WWD:今後新たに実装する、もしくは実装したい機能はあるか?
藤原:まずはサイズ感をより明確に、簡単に計測できる方法を確立したいですね。というのも、服を何点かまとめて送る「ローブス」は、すべてのアイテムのサイズが合っていなければならない。今のところはそこまで問題になっていないのですが、今後拡大する際に大きなダメージになる可能性があるので、早めに解決したいです。あとは、ユーザーの自宅にあるアイテムを把握して、コーディネートの幅を広げたり、ユーザーさんの手持ちのアイテムの処分の請け負いなども考えています。出資元の一つである「バイマ(BUYMA)」運営会社のエニグモさんとの連携の可能性も模索中です。ほかにもサイトのUI/UXの改善や、シューズをはじめとするアイテムバリエーションの拡充などいくつか考えているのですが、「ローブス」でユーザーの日々の消費体験をとにかく楽にしていきたいです。