百貨店主要5社の12月度の売上高(既存店ベース)は、各社5%前後のマイナスになった。増税の反動で10月から3カ月連続の全社減収。ただ、「着実に回復傾向にある」(高島屋広報)という声も目立つ。一方、月の上旬から中旬にかけて前年よりも気温高い日が続いたことで重衣料の販売が苦しんだ。前年に比べて休日が2日減ったこともマイナス要因となった。
12月の各社の既存店売上高は、三越伊勢丹が前年同月比5.3%減、高島屋が同4.9%減、大丸松坂屋百貨店が同4.4%減(心斎橋店を除く)、そごう・西武が同4.5%減、阪急阪神百貨店が同4.6%減(19年10月に屋号変更の神戸阪急、高槻阪急を除く)。
ボリュームゾーンの婦人服では、各社とも11月に引き続き、気温の高止まりによる重衣料の不振に苦しんだ。高島屋は婦人服が同4%減で、うちコートなど重衣料の売り上げが同12%減。そごう・西武は婦人服全体で同8%減。阪急阪神百貨店も、12店中9店でファッションの売上高が前年を割り込んだ。
免税売上高の失速にも歯止めがかかっていない。特に、大きな割合を占める化粧品の購買動向の変化が影響している。高島屋は免税売上高が同13.8%減。「基礎化粧品のまとめ買いが減った一方、カウンセリングをしっかり受けて吟味するお客さまが増えている」(高島屋広報)。三越伊勢丹の免税売上高も前年割れで、化粧品は2ケタのマイナス。伊勢丹新宿本店本館は19年11月に化粧品フロアを増床したが、メイクアップの1階は堅調な一方、2階は計画を下回る。「化粧品は1階というイメージは根強い。2階の認知拡大と導線作りを進めていく」(三越伊勢丹広報)。
なお、1月の初売りは各社やや低調な結果。長い休みでレジャーなど消費者の過ごし方が多様化し、集客に苦戦した。三越伊勢丹は客の要望に応える形で、今年は初売りを1日前倒して2日に変更したものの、開始からの3日間で比較すると売上高は前年割れ。大丸松坂屋も開始からの4日間比較で売上高は前年比6%減。「クリアランス対象の冬物が苦戦する一方で化粧品やラグジュアリーなどの定価販売が好調だった」(同社広報)、「お客さまがファッションから日用品へ流れている。お客さまの消費マインドの変化を感じる」(高島屋広報)。