インスタグラムは、さまざまなジャンルで活躍する5人のクリエイターをキュレーターに迎え、2019年の注目トピックスと20年の潮流を発表する企画「#LookBack2019 Instagram トレンドレポート」の特設サイトをオープン中だ。ファッションやフード、音楽、旅行、スポーツの5分野において、各キュレーターたちが19年に注目したハッシュタグやアカウント、そして20年に向けて気になっているトピックを紹介している。インスタグラムの現在地はどこにあり、これからどこに向かっていくのか。本企画に参加したキュレーターの1人であり、アパレルブランド「フィグ アンド ヴァイパー(FIG&VIPER)」クリエイティブディレクターやDJ、モデルとして活動する植野有砂に話を聞いた。
WWD:2019年のインスタグラム上での活動を振り返ると、どのような1年だった?
植野有砂(以下、植野):改めて写真を見返してみると、旅に関する投稿が本当に多かったです。今は日本と海外を行き来する生活をしているのですが、海外の方が日本よりも圧倒的にコンテンツがある。日本に2週間くらいいても、インスタに投稿するのは3回くらいだけど、海外に行くと毎日投稿していました。
WWD:なぜ、海外の方がコンテンツが多いと感じるのか?
植野:全てが真新しく感じるんです。普通の路上でもかわいく思えるし、観光地やフォトスポットに行くことも多いので、写真を撮る機会が多いのかなと感じています。海外でも、自宅があるLAだと写真は全然撮らないんです。自分の生活圏内だと、特別なことがない限り化粧をちゃんとしていないこともあると思います(笑)。
WWD:現状、インスタグラムをどのように使っている?
植野:ストーリーズ機能で日常的なことをアップし、フィード上ではもう少し作りこんだ写真を投稿することが多いです。新しいアカウントとかを探す際には、ファッションに特化した、見る専門用の裏アカ(公表していない別アカウントのこと)と本アカウント両方を使ってハッシュタグやタグ付け、ワーディングなどで検索しています。
WWD:旅に関する投稿は、インスタを始めた当初から行っていたのか?
植野:インスタを始めた当初はファッションの方が主軸でした。海外のフォロワーさんがとても多かったこともあり、ヘアメイクやファッションを中心に東京のカルチャーを発信していました。ただ、大学生のころから旅が好きだったので、アメブロとかに掲載はしていて、5、6年前くらいから発信の主軸をインスタにして以降、旅行系の投稿が増えていきました。
“映え”のための行動が
「楽しいインプット」に
WWD:植野さんの周囲の人々の間でも、旅行系の投稿が増えている?
植野:どうだろう……。私の周囲の私服を上げていた方たちがライフスタイル関連の投稿をするようになった印象は受けますね。インフルエンサーに限らず、一般の方でもインスタ用の写真を撮るために“映える”行動をするのが当たり前になっている。しかもそれって楽しいことなんですよね。旅行に関して言えば、“映えスポット”って観光名所であることも多くて、インスタ関係なしに行ってみたい所がけっこうある。あとはホテルの部屋を予約する際に、インスタに投稿するために、富士山が見える部屋にしようと考えることもあります。出費も増えるけれど、インスタが後押ししてくれた分、楽しい経験ができたというインプットもあると思います。
WWD:19年には“いいね”数が非表示になったが、何か影響はあった?
植野:私は普段、インスタの数字に関しては“いいね”数とフォロワー数を中心に見ているんですけど、全体的に“いいね”数が減った気がしますね。あとは個人的に「フィグ アンド ヴァイパー」のコラボレーション相手を探す時の指標の1つとして“いいね”数を見ていたので、それが見えなくなったことでユーザーへのリーチ数が推定しづらくなったなと感じています。ただ、私自身の投稿のモチベーションは変わっていません。
WWD:一部では若者を中心に“SNS疲れ”が起きているとも言われているが、その実感はある?
植野:私も含め、そんなに疲れていないような気がします。私たちの時代のプリクラのように、インスタは今の人たちにカルチャーとして根付いている。“インスタ映え”はまだまだ続くし、みんなもそれを楽しんでいると思います。「SNSに疲れた」と言っているのはトップインフルエンサーの方たちが中心で、彼ら・彼女らは今後、作りこまれた写真ではなくよりリアルな写真を投稿するようになっていくんじゃないかなと思います。
WWD:20年にはインスタグラムはどのようなトレンドが生まれそうか?
植野:いろいろありますが、動画のコンテンツはもっと増えていくでしょうね。実際に、世界のトップインフルエンサーの方々も、IGTVを活用するケースが増えてきています。私も今年はもっとIGTVを使っていきたいですね。ただ、YouTubeでの発信も既に行っているので、どういった使い分けをしようか考えています。動画の作り方も、カジュアルだけど洗練されているというような、YouTubeよりも少しオシャレなモノにしていきたいですね。