【22ページ目】FENDI(フェンディ)
■FENDI(フェンディ)のはじまり
1925年、フェンディ夫妻が創業。翌年、ファー工房併設の皮革小物店をオープンし名を広める。40年以降は娘5人が経営に携わり、その後もクリエイティブ部門において4世代続く、ラグジュアリー・ファッションでも貴重なファミリーブランド。65年にカール・ラガーフェルド(Karl Lagerfeld)をデザイナーに起用。毛皮の常識を覆しながらも品位と優雅さを保ちながら常に斬新性を追求し、普段でも着られる軽量のファーコートを作ることを目指した。2019年逝去時、54年という起用期間はデザイナーとメゾンの関係においてファッション史上最長になる。
■FENDI(フェンディ)の歴史
1925年、アデーレ(Adele Fendi)とエドアルド(Edoardo Fendi)夫妻がローマで創業し「フェンディ」が誕生。26年、プレビシート通りにファー工房併設の皮革小物店をオープン。32年、高級カーフレザー“セレリア”(Selleria)のフルコレクションを発表。46年、娘のパオラ(Paola)、アンナ(Anna)、フランカ(Franca)、カルラ(Carla)、アルダ(Alda)も経営に参加。65年、当時パリで新進デザイナーだったカール・ラガーフェルドが加入。新しいロゴとして「ダブル F」をデザイン。69年、フィレンチェにあるピッティ宮殿で初めてファーのプレタポルテを発表。
77年、カールの長年のパートナーだったジャック・ドゥ・バシェール(Jacques de Bascher)による短編映画「イストワール・ドオー」の発表に合わせ、初のプレタポルテを披露。業界初のファッションフィルムとしても知られる。82年、テーラーズアトリエ「サルトリア・マッソーリ(Sartoria Massoli)」と協業を始める。83年、ダークブラウンとブラウンのストライプ柄“ペカン(Pequin)”を発表。84年、サングラスとフーラード、ネクタイなどのライセンス事業を始める。85年、初の香水を発表。87年、ホームコレクション「フェンディ カーサ(FENDI CASA)」を立ち上げ、インテリアに参入。88年、初のウオッチコレクションを発表。90年、メンズを発表(90-91年秋冬〜)。
92年、アンナの娘、シルヴィア・フェンディ(Silvia Venturini Fendi)がクリエイティブ部門に加わる。2001年、LVMHモエ ヘネシー・ルイ ヴィトンの傘下に入る。03年、ルイ・ヴィトン北米の社長兼CEOだったマイケル・バーク(Michael Burke)氏が会長兼CEOに就任。05年、ローマ本店となるパラッツォ フェンディ(PALAZZO FENDI)を構える。
07年、中国の万里の長城でショーを開催。12年、ピエトロ・ベッカーリ(Pietro Beccari)氏が会長兼CEOに就任。13年、ローマの泉を修復するプロジェクト「フェンディ・フォー・ファウンテンズ」をスタート。15年、ローマを代表する建築の1つ、イタリア文明宮に本社を移転。「サルトリア・マッソーリ」と共に、テイラーの養成を目的とした「マリア・アントニエッタ・マッソーリ・ファイン・テイラーリング・アカデミー」を開校する。7月、初のオートクチュールコレクション「オートフリュール(Haute Fourrure)」を発表し、パリのオートクチュールに初参加。
16年、パラッツォ フェンディを全面改装。ファーアトリエを併設する世界最大級のブティックのほか、VIP向けのアパートメント「パラッツォ プリヴェ」や初のブティックホテル「フェンディ プライベートスイーツ」、レストラン「ズーマ」を導入。
17年4月にギンザ シックス店、5月に表参道店がオープン。6月、カルラ名誉会長が死去(80歳)。18年2月、「ディオール オム」で会長兼CEOを務めていたセルジュ・ブランシュウィッグ(Serge Brunschwig)氏をフェンディ会長兼CEOに起用。19年2月、カールが死去。
20年、キム・ジョーンズ(Kim Jones)がクチュールとウィメンズウエアのアーティスティック・ディレクターに、フェンディ家第4世代のデルフィナ・デレトレズ・フェンディ(Delfina Delettrez Fendi)がジュエリーのアーティスティック・ディレクターにそれぞれ就任(21-22年秋冬~)。
21年1月、初のジャパンブランドアンバサダーに米倉涼子が就任。7月、LVMHとイタリアの大手眼鏡企業マルコリン(MARCOLIN)の合弁会社であるティリオス(THELIOS)とパートナーシップを締結。7月、ジュエリーライン“フェンディ オーロック(FENDI O’LOCK)”を発表。
22年5月、「ヴェルサーチェ」と協業した「フェンダーチェ(FENDACE)」コレクションを発売。LVMHと共に、英インペリアル・カレッジ・ロンドンとロンドン芸術大学セントラル・セント・マーチンズと連携し、新たなバイオ素材の開発に関する共同研究イニシアチブを発表。
■FENDI(フェンディ)の主な歴代デザイナー
カール・ラガーフェルド:
ドイツ・ハンブルク出身。52年、パリに移り名門リセ・モンテーニュに進学。54年、インターナショナル・ウールマーク賞を受賞。その後、ピエール・バルマンのアシスタントや「ジャン・パトゥ」のアートディレクターに就く。64年、「クロエ(CHLOE)」に入る(75〜83年専任デザイナー)。65年、「フェンディ」にデザイナーとして就き、ウエアと毛皮部門、広告ビジュアルを手掛ける。83年に「シャネル」のオートクチュールとプレテポルテ、アクセサリーのアーティスティック・ディレクターに就任。84年、自身のブランドを設立。92年「クロエ」に復帰(〜97年)。2004年「H&M」と協業。16年秋、そごう・西武との協業で「リミテッドエディション バイ カール・ラガーフェルド」を発売。19年2月19日死去。最後のコレクションは19-20年秋冬。
シルヴィア・フェンディ:
アンナの娘として誕生。イタリアとロンドンで進学後、ロサンゼルスでキャリアをスタート。ファッションショーやイベント制作の監督を担う。1987年、「フェンディシメ」ラインのクリエイティブ・ディレクターに就任。 92年、カールの補佐にあたり、「フェンディ」メンズを中心としたウエアを手掛ける。94年、レザーグッズの責任者に就き、“バゲット”や“ピーカブー”といったアイコンバッグを次々と生み出す。22年現在、アーティスティック・ディレクターとしてアクセサリーとメンズウエアを担当。
キム・ジョーンズ:
1979年英ロンドン生まれ。ロンドン芸術大学セントラル・セント・マーチンズ校でメンズウエアの修士号を取得。卒業制作から注目を集め、「アンブロ(UMBRO)」のデザイナーに。その後も「マルベリー(MULBERRY)」や「アレキサンダー・マックイーン(ALEXANDER McQUEEN)」でキャリアを積み、2008〜11年には「ダンヒル(DUNHILL)」のクリエイティブ・ディレクターを務めた。11年、「ルイ・ヴィトン(LOUIS VUITTON)」のメンズ・アーティスティック・ディレクターに就任。退任後の18年3月、「ディオール(DIOR)」のメンズ・アーティスティック・ディレクターに。20年9月、「フェンディ」のウィメンズ・アーティスティック・ディレクターに就き、兼任する。
デルフィナ・デレトレズ・フェンディ:
シルヴィアの娘でジュエリーデザイナー。2007年、自身のジュエリーブランド「デルフィナ・デレトレズ」を設立。14年に「フェンディ」と初コラボ。16年には、ハイジュエリーウオッチ“ポリクロミア(Policromia)”も発表。20年、「フェンディ」のジュエリー部門のアーティスティック・ディレクターに任命。
■FENDI(フェンディ)成長の要となった代表アイテム
“セレリア”:
「フェンディ」を代表する最高級カーフレザーのライン。1932年にバッグのフルコレクションを発表した。ローマの馬具職人から受け継いだ手作りの技が特徴。“クオイオ ローマ”という貴重な柔らかいグレインレザーを使い、手仕事でハンドステッチを施している。94年にシルヴィアが刷新。
“FF”ロゴ:
65年にカールが考案。「ファーをファン(楽しく)したい」と考案した「Fun Fur」の頭文字を組み合わせてデザインしたもの。2018年プレ・フォールに正方形のボックスシルエットにアップデート。
“バゲット(Baguette)”:
97年〜。パンを抱えるように脇に挟んで持つスタイルが名前の由来。19年春夏にリニューアル。
“ピーカブー(Peekaboo)”:
09年春夏〜。英語で「いないいないばあ」を意味するその名の通り、バッグの口を開けることで内側のデザインをもあえて楽しめる独特のデザイン。14年からメンズも登場。
“バッグ・バグズ(Bag Bugs)”:
13年春夏〜。まるでモンスターのような顔を描いたシリーズ。ファーをつけたチャームは15年のヒットアイテムに。
“バイ ザ ウェイ(By The Way)”:
14年プレ・フォール〜。洗練されたデザインと丸みのあるボディが特徴のボストンバッグ。
“ドットコム(Dotcom)”:
16年春夏〜。滑らかなレザーの質感とボクシーな形状が特徴なワンハンドルバッグ。
“キャナイ(Kan I):
17年春夏〜。真四角のスモールサイズのフラップバッグ。ハンドルとショルダーチェーンを兼ね備える。カスタマイズを楽しめるデザインが人気に。
“フェンディ ファースト(Fendi First)”:
21-22年秋冬〜。“F”モチーフを大胆に施したバッグとシューズ。22-21年秋冬にはジュエリーも発表。
“オーロック スウィング(O’Lock Swing)”:
22-23年秋冬〜。1990 年代を着想源に、名前の通りブランコのようなシルエットが特徴的。ストラップは取り外し可能。また、デザインと機能性を兼ね備えた“オーロック ジップ(O’Lock Zip)”も登場。
■公式サイト
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