【3ページ目】GUCCI(グッチ)
■GUCCI(グッチ)のはじまり
1800年代後半、ロンドンのサヴォイ・ホテルで働いていた10代のグッチオ・グッチ(Guccio Gucci)は、旅の魅力に触れ、当時の人々の発見、論考、学び、そして多様な文化に感銘を受ける。その学びをイタリアに持ち帰り、1921年、フィレンツェで「グッチ」を創設。レザーグッズのショップとファクトリーをオープンした。99年にピノー・プランタン・ルドゥート(現ケリング)が株式を取得し、ラグジュアリーブランドとして成長した。
■GUCCI(グッチ)の歴史
1921年、グッチオ・グッチがフィレンツェでトランクやトラベルアイテムを取り扱うショップとファクトリーをオープンし創設。38年にローマに、51年にミラノのモンテナポレオーネにショップをオープン。47年、戦後の物資不足の中、ピグスキンとバンブーを用いた“バンブーバッグ”が誕生。53年、NYにショップをオープンし、イタリアの先駆ブランドとしてアメリカへ進出。同年にホースビット ローファーが、61年に“ジャッキー O バッグ”が誕生。
62年、サンモトヤマと日本の総代理店契約を締結。64年、銀座のみゆき通りに日本初のグッチショップをオープン。66年、モナコ大公妃、グレース・ケリー(Grace Kelly)のために“フローラ”プリントのスカーフをデザイン。72年、ファッションブランドとして初めてスイスメイドの時計製造をスタート。75年、初のフレグランスを発表。89年、バーレーン拠点の投資企業、インベストコープ(INVESTCORP)に株式50%を売却。93年、インベストコープに全株式を売却し、グッチファミリー最後の経営者、マウリツィオ・グッチ(Maurizio Gucci)会長が辞任。
94年、トム・フォード(Tom Ford)がクリエイティブ・ディレクターに就任。トムによる「グッチ」のコレクションは一大ブームを巻き起こし、ファッション最前線に。99年、仏百貨店のプランタンを始め、フナックやレッドキャッツなどの流通企業を多く傘下に抱えていたピノー・プランタン・ルドゥート(PINAULT PRINTEMPS REDOUTE)がグッチ グループの株式を取得。2004年、ブランドを立て直したトムとドメニコ・デ・ソーレ(Domenico De Sole)CEOが退任。アクセサリー部門のクリエイティブ・ディレクターだったフリーダ・ジャンニーニ(Frida Giannini)がトムの後任に就く。同年からCSR分野を強化し、長期にわたるユニセフとのパートナーシップや、サプライチェーン全体でSA 8000認証への取り組みをスタート(10年にISO14001認証を取得)。05年、ピノー・プランタン・ルドゥートがPPRに社名変更。11年、ジェンダー平等を目指すグローバルキャンペーン「CHIME FOR CHANGE」を発足。
13年3月、親会社のPPRがケリング(KERING)に社名変更(日本法人のグッチ グループ ジャパンはケリング ジャパンに)。「リチャード ジノリ(RICHARD GINORI)」を買収。11月、「ユネスコ協会就学支援奨学金-GUCCI奨学生」のチャリティーアイテムとして、ラグジュアリーブランドとして日本初の切手を発売。14年9月、初のメイクアップ・コレクションを発売。
15年1月、フリーダとパトリツィオ・ディ・マルコ(Patrizio di Marco)=社長兼CEOが退任。後任は、ケリング(当時)のマルコ・ビッザーリ(Marco Bizzarri)=クチュール&レザーグッズCEO。2月発表の15-16年秋冬メンズ・コレクションは、アソシエイト・クリエイティブ・ディレクターだったアレッサンドロ・ミケーレ(Alessandro Michele)指揮の下、デザインチームが手掛けた。その後、アレッサンドロが正式にクリエイティブ・ディレクターに就任し、同シーズンのウィメンズ・コレクションを発表した。
15年、10年間にわたる包括的なサステナビリティ戦略「Culture of Purpose」を発表。17年7月、インテリアコレクション「グッチ デコール」をローンチ。10月、「Culture of Purpose」の一環として、リアルファーの使用廃止を宣言(18年春夏〜)。
18年1月、フィレンツェのメルカンツィア宮殿内にギャラリーやレストランなどを併設した「グッチ ガーデン」をオープン。4月にはレザーグッズとシューズの製造と実験を行う研究所「グッチ アートラボ」を開設。同施設内で職人育成と製品製造技術を次世代に伝えるための教育プログラム“エコール デ ラムール(Gucci Ecole de l’Amour)」を始動。
19年3月、多様性とインクルージョン推進プログラム「グッチ・チェンジメーカーズ(Gucci Changemakers)」を本格始動。7月、初のハイジュエリー・コレクションを発表。9月、自社および全サプライチェーンの事業活動において温室効果ガスの排出を完全に相殺し、カーボンニュートラルを達成。この発表以降、世界の森林保全を支援するREDD+のプロジェクトなどを通じて年次でカーボンニュートラルを継続している。
21年、創立100周年。2月、国連女性機関による「平等を目指す全ての世代のための活動連合」に参加。4月、レディー・ガガ(Lady Gaga)主演の映画「ハウス・オブ・グッチ」が公開。22年1月、日本人俳優の志尊淳がグローバル・ブランドアンバサダーに就任。7月、循環型経済を推進する英エレン・マッカーサー財団と戦略的パートナーシップを締結。9月、22年 CNMI サステナブル ファッション アワードのTHE CLIMATE ACTION AWARDを受賞。
■GUCCI(グッチ)の主な歴代デザイナー
トム・フォード:
米テキサス州生まれ。ニューヨーク大学で美術史、パーソンズ美術大学で建築を専攻。1990年にグッチに入り、94年にデザインディレクターに就任。2000年には「イヴ・サンローラン リブゴーシュ(YVES SAINT LAURENT RIVE GAUCHE)」と「イヴ・サンローラン・ボーテ(YVES SAINT LAURENT BEAUTE)」のクリエイティブ・ディレクターも兼任する。02年、グッチ グループ副会長に就任。04年に退任。05年に自身のブランド「トム フォード」を設立。
フリーダ・ジャンニーニ:
1972年ローマ生まれ。同市のファッションアカデミーで学んだ後、「フェンディ(FENDI)」での経験を経て、2002年、ハンドバッグのデザインディレクターとしてグッチに入社。04年、初のアクセサリー・クリエイティブ・ディレクターに任命される。アクセサリー部門のクリエイティブ・ディレクター、ウィメンズウエアのクリエイティブ・ディレクターを経て、07年クルーズ・コレクションからブランド全体を統括。15年に退任。
アレッサンドロ・ミケーレ:
1972年11月25日ローマ生まれ。ファッションアカデミーで衣装デザインを学んだ後、レ・コパン(LES COPAINS)に入社。90年代後半には「フェンディ」に移り、カール・ラガーフェルド(Karl Lagerfeld)とシルヴィア・フェンディ(Silvia Venturini Fendi)のクリエイティブ部門でレザーグッズを手掛ける。2002年、トム・フォード率いる「グッチ」に入り、バッグをデザイン。11年にはフリーダの元、アソシエイト・クリエイティブ・ディレクターに就く。14年には、ケリング傘下のテーブルウエア&ポーセリンメーカー、リチャード ジノリのクリエイティブ・ディレクターにも就任。15年1月から現職。
■GUCCI(グッチ)成長の要となった代表アイテム
バンブー ハンドル バッグ:
1947年、上質な原材料の入手が困難だった戦後期のイタリアにおいて、グッチオはフィレンツェの職人たちの革新的なアイデアを取り入れて、バッグのハンドルに軽量かつ丈夫なバンブーを採用。この“バンブーバッグ”はたちまち注目を集め、ハリウッドの女優やジェットセッターたちに愛用されるようになり、ブランドのアイコンバッグとして人気に。ファッションに実用性が求められるようになった91年には、バンブーハンドルをあしらったトートバッグが誕生。近年では、バンブーのトップハンドルを備えた“グッチ バンブー 1947”やトートバッグ“グッチ ダイアナ”を発表した。
“ウェブ ストライプ”:
馬具のサドルを固定する腹帯にインスピレーションを得た代表的なグリーンとレッド、グリーンのストライプ。1950年代の誕生以来、アクセサリーやウエアに幅広く採用されている。
ホースビット:
馬具の“はみ”にインスピレーションを得たホースビットのモチーフは、1950年代にハンドバッグの装飾として初めて登場し、53年にローファーの装飾として用いられ“ホースビット ローファー”が誕生。80年代にはメトロポリタン美術館の永久所蔵コレクションとして選定されている。2015-16年秋冬にアレッサンドロがアレンジしたファーのライニング付きスリッパ“プリンスタウン(Princetown)”は彼のクリエイションを代表するアイテムに。20年クルーズでハンドバッグの“グッチ ホースビット 1955 ”がデビュー。
“GGパターン”:
1930年代からラゲージに用いられていた“ディアマンテ(Diamante)”パターンに、グッチオ・グッチのイニシャルをかたどったGGを加え65年に誕生したブランドを代表するシグネチャーパターン。
“ジャッキー バッグ”:
1961年に誕生した、エレガントなカーブを描くハーフムーンシェイプと、特徴あるピストン クロージャーで知られるシグネチャーバッグ。60~70年代のジェットセッターたちのライフスタイルの象徴となり、ジャクリーン・ケネディ(Jacqueline Kennedy)が愛用していたことから、彼女の愛称にちなんで“ジャッキー”と呼ばれるようになった。2020-21年秋冬では、“ジャッキー 1961”を発表。
フローラ プリント:
1966年誕生。イタリア人イラストレーターのヴィットリオ・アッコルネロ(Vittorio Accornero) が、モナコ大公妃グレース・ケリーのためにデザインしたスカーフのフラワープリント。四季折々の花々にバタフライやトンボなどの昆虫を組み合わせたカラフルな華やかさが魅力。
“ディオニュソス”(DIONYSUS):
2015-16年秋冬に登場したハンドバッグ。ギリシャ神話のディオニュソスからデザインされたダブルタイガーヘッドのクロージャーが特徴的。神話では、ディオニュソスはゼウスが遣わしたトラに乗ってチグリス河を渡ったと言われている。
“GGマーモント”:
アレッサンドロがデザインしたレザーグッズ・コレクション。ダブルGのハードウエアとシェブロン・キルティングが印象的。
“グッチ ビューティ”:
2014年9月、フリーダがメイクアップ・コレクションを発表。19年、アレッサンドロにより“グッチ ビューティ コレクション”として刷新、第1弾のリップスティックは発売1カ月で100万本以上を売り上げた。21年に日本上陸。
■公式サイト
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