【8ページ目】ISSEY MIYAKE(イッセイ ミヤケ)
■ISSEY MIYAKE(イッセイ ミヤケ)のはじまり
1970年、デザイナー、三宅一生が三宅デザイン事務所を設立し創業。「一枚の布」の考え方のもと、産地や企業との協働により一本の糸から研究開発を行い、独自の素材や技術によるモノ作りを行う。服のかたちに裁断・縫製した後でプリーツをかける“製品プリーツ”という技法はブランドの象徴的な服作りの一つ。多彩なブランドを持ち、バッグや香水、時計などカテゴリーを広げる。
■ISSEY MIYAKE(イッセイ ミヤケ)の歴史
1963年、デビューコレクション「布と石の詩」を発表。70年4月、三宅一生が三宅デザイン事務所を設立。71年11月、製造・卸・販売会社としてイッセイ ミヤケ インターナショナル(ISSEY MIYAKE INTERNATIONAL)を設立(90年にイッセイ ミヤケに改称)。ニューヨークでコレクションを発表。73年にパリ・ファッション・ウイークに初参加。74年、1号店を東京・外苑前にオープン(93年南青山に移転)。75年9月、海外1号店をパリにオープン。76年8月、「イッセイ ミヤケ メン(ISSEY MIYAKE MEN)」をスタート(〜2020-21年秋冬)。第22回「毎日デザイン賞」を受賞。79年7月、フランス法人を設立。80年、80-81年秋冬からは構築的な造形の“プラスチック・ボディ”などの異素材を使った衣服の挑戦を始める。
81年、「プランテーション(PLANTATION)」をスタート(その後エイ・ネットに移行)。82年アメリカ法人、83年イギリス法人を設立する。85年、85-86年秋冬からパリメンズに参加。86年、米雑誌「Time」の表紙を飾り巻頭特集が組まれる。写真家アーヴィング・ペン(Irving Penn)が「イッセイ ミヤケ」のコレクション撮影を始める。92年、資生堂傘下のボーテ プレステージ インターナショナル(BEAUTE PRESTIGE INTERNATIONAL)から初の香水「ロードゥ イッセイ(L’EAU D’ISSEY)」を発売。94年、「プリーツ プリーズ イッセイ ミヤケ(PLEATS PLEASE ISSEY MIYAKE)」をスタート。96年、グループ子会社、エイ・ネット(A-NET)を設立。
99年、ウィメンズのデザイナーに滝沢直己が就任(2000年春夏〜07年春夏)。00年2月に「エイポック(A-POC)」、7月にトップスを中心とした「ミー イッセイ ミヤケ(ME ISSEY MIYAKE)」、テキスタイルデザイナー皆川魔鬼子による「ハート(HAAT)」(00年秋冬〜)をスタート。01年、セイコーウオッチから「イッセイ ミヤケ ウオッチ(ISSEY MIYAKE WATCH)」を発売。06年、ウィメンズのデザイナーに藤原大が就任(07-08年秋冬〜11-12年秋冬)。デザイン施設「21_21 DESIGN SIGHT」を六本木に開設。10年、「バオ バオ イッセイ ミヤケ(BAO BAO ISSEY MIYAKE)」と「132 5. イッセイ ミヤケ(132 5. ISSEY MIYAKE)」をスタート。11年、ウィメンズのデザイナーに宮前義之が就任(12年春夏〜19-20年秋冬)。12年、照明プロジェクト「陰翳 インエイ イッセイ ミヤケ(陰翳 IN-EI ISSEY MIYAKE)」をスタート。13年、メンズのデザイナーに高橋悠介が就任(14年春夏〜20-21年秋冬)。南青山に複数のブランドを集約した3層構造の「リアリティ・ラボ イッセイ ミヤケ(REALITY LAB. ISSEY MIYAKE)」をオープン。メンズ「オム プリッセ イッセイ ミヤケ(HOMME PLISSE ISSEY MIYAKE)」をスタート。15年、金子眼鏡とアイウエアブランド「イッセイ ミヤケ アイズ(ISSEY MIYAKE EYES)」をスタート。16年、グラフィック・デザイナーの田中一光の作品をモチーフにコレクション「イッコウ タナカ イッセイ ミヤケ(IKKO TANAKA ISSEY MIYAKE)」をスタート。17 年、イタリア初の旗艦店をミラノにオープン。18年、雑貨開発プロジェクト「グッド グッズ イッセイ ミヤケ(GOOD GOODS ISSEY MIYAKE)」をスタート。19年、ウィメンズのデザイナーに近藤悟史が就任(20年春夏〜)。21年、メンズブランド「アイム メン(IM MEN)」、「エイポック エイブル イッセイ ミヤケ(A-POC ABLE ISSEY MIYAKE)」をスタート。
■ISSEY MIYAKE(イッセイ ミヤケ)の主な歴代デザイナー
三宅一生(みやけ・いっせい)
1938年広島県広島市生まれ。多摩美術大学図案科を卒業。63年デビュー。65年渡仏し、オートクチュールを学び、ギ・ラロッシュ(Guy Laroche)やユベール・ド・ジバンシィ(Hubert de Givenchy)の下でキャリアをスタート。60年代後半をパリで過ごした三宅は、32歳だった70年に帰国し三宅デザイン事務所を設立。71年に「イッセイ ミヤケ」をスタートし、73年にパリ・ファッション・ウイークに初参加。76年には黒人モデルだけを起用したファッションショー「三宅一生と12人の黒い女たち」を開催。90年、第1回ヒロシマ賞受賞。91年、仏芸術文化勲章 最高位コマンドール受章。93年、仏レジオン・ドヌール勲章シュバリエ受章。英ロイヤル・カレッジ・オブ・アート(王立芸術院)から名誉博士号授与。97年紫綬褒章を受章。2010年文化勲章を受章し、「広島名誉市民」「広島名誉県民」に認定された。16年仏レジオン・ドヌール勲章コマンドール位を受章。「MIYAKE ISSEY展:三宅一生の仕事」を国立新美術館で開催し、1970〜2016年までの約45年間の活動を振り返った。22年8月5日、肝細胞がんのため逝去(84歳)。
滝沢直己(たきざわ・なおき)
東京生まれ。1981年、桑沢デザイン研究所ドレスデザイン科卒業。82年、三宅デザイン事務所に入社。83年、「プランテーション」のデザインを担当。89年、「イッセイ ミヤケ」のデザインチームに参加。93年、「イッセイ ミヤケ メンズ」のデザイナーに就任。99年、ウィメンズのデザイナーに就任。06年退社。
藤原大(ふじわら・だい)
多摩美術大学デザイン学部染織科卒業後、1994年に三宅デザイン事務所に入社。98年に、三宅と共に「エイポック」を始動。2006〜11年まで「イッセイ ミヤケ」のデザイナーとして活動した。08年に退社し自身が主宰する事務所を設立。
宮前義之(みやまえ・よしゆき)
1976年生まれ。2001年に三宅デザイン事務所に入社し、「エイポック」の企画チームに参加。その後「イッセイ ミヤケ」の企画チームに加わり、2011年から19年までデザイナーを務めた。14年、第32回「毎日ファッション大賞」大賞を受賞。21年にスタートした「エイポック エイブル イッセイ ミヤケ」では、エキスパートを集めたチームを率いて、「エイポック」の更なる研究開発に取り組む。
高橋悠介(たかはし・ゆうすけ)
1985年生まれ。2010年文化ファッション大学院大学ファッションデザインコースを修了後、同年三宅デザイン事務所に入社。12年、デザインチーム体制だった「イッセイ ミヤケ メン」に参加。入社3年の13年、27歳の若さで「イッセイ ミヤケ メン」のデザイナーに抜擢され、14年春夏から6年間に渡りデザインを手掛けた。20年に退社。
近藤悟史(こんどう・さとし)
1984年生まれ、2007年に上田安子服飾専門学校を卒業後、イッセイ ミヤケに入社。「プリーツ プリーズ イッセイ ミヤケ」や「オム プリッセ イッセイ ミヤケ」のデザインチームを経て17年に三宅デザイン事務所に移籍し、創業者の三宅の指導の下、経験を積んできた。19年から「イッセイ ミヤケ」のデザイナーを務める。
■ISSEY MIYAKE(イッセイ ミヤケ)の代表的なブランド・ライン
「イッセイ ミヤケ メン」
1976年にメンズブランドとしてスタートし、85-86年秋冬からパリメンズに参加。99年春夏からはミラノに発表の場を移すも、2005-06年秋冬にパリに戻る。19-20年秋冬をもって、パリでのランウエイショーを休止し、20-21年秋冬をもってブランドを休止した。
「プリーツ プリーズ イッセイ ミヤケ」
1988年にウィメンズで発表した「プリーツ」を発展させ、「イッセイ ミヤケ」91-92年秋冬パリ・コレクションで「プリーツ プリーズ イッセイ ミヤケ」の原型となる服を発表。94年2月に単独ブランドとしてスタート(94年春夏〜)。1本の糸から素材を開発し、“製品プリーツ”という服の形に縫製した後、プリーツをかけるという独特の技法による服を作る。96年、海外1号店をパリ・サンジェルマン通りにオープン。以降、ニューヨークや南青山などに出店。2012年、全576ページにおよぶ初の書籍をドイツの出版社タッシェンから発売。13年、20周年のビジュアルシリーズが第92回 NY ADCデザイン部門金賞を受賞。
「エイポック」
1998年に開始した「服作りのプロセスを変革し、着る人が参加して新しいデザインのあり方を提案する」ブランド。コンピューターの最新技術を駆使して、生地作りの段階で1本1本の糸に裁断や縫製のための情報を内包した“一枚の布(A Piece Of Cloth)”からプロダクトを生み出す。00年春夏から本格始動。「2000年度グッドデザイン賞」大賞受賞。07年、デザイン・ソリューション「エイポック インサイド(A-POC INSIDE)」として「イッセイ ミヤケ」に組み込む。21年、宮前が「エイポック」の服作りを発展させ、異分野や異業種とも協業する「エイポック エイブル イッセイ ミヤケ(A-POC ABLE ISSEY MIYAKE)」を立ち上げた。
「バオ バオ イッセイ ミヤケ」
2010年9月に立ち上げたバッグブランド(10-11年秋冬〜)。三角ピースをベースにさまざまな形に構成した幾何学構造がアイコニックで、軽くて扱いやすいことも人気の理由。シリーズは、直角二等辺三角形のピースを使用した“ルーセント(LUCENT)”や“ルーセント”の約半分の三角ピースを使用した“プリズム(PRISM)”、金属のように光を反射して輝く“プラチナム(PLATINUM)”、基本のピース配置を45度回転させた“スラッシュ(SLASH)”、正三角形のピースで構成したマチのある立体的なバッグ“ソリッド(SOLID)”、“プリズム”の約1/4サイズの三角ピースとコットン素材に樹脂成形した素材が特徴の“クロ(KURO)”、ミクロン単位での調整が可能な高精度射出成型技術「インジェクション成型」を採用した“ダズル(DAZZLE)”など。
■公式サイト
ファッション通信1月23日号「2016春夏パリ・コレクション・フォーカス 2」
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