“PIAGET POLO S”のテーマである“Play a different game”になぞらえて、「WWD JAPAN.com」も独自に選んだ時代を変えうる5人の若きゲーム チェンジャーを取材した。
120分間の小さな旅を
提供するためのレストラン
料理人・永島健志が経営する西麻布の「81(エイティワン)」は、完全予約制・12席限定のレストランだ。毎日2部制で予約を受け付け、2万5000円で季節ごとのコース料理を味わうことができる。黒を基調とした無機質な店内にはDJブースがあって、料理ごとにドリンクとBGMを変え、永島自らがコンセプトを説明する。内装について永島は、「死を想わせる空間を作りたかった。テーブルには墓石に使う黒御影石を使用している。食べ物は全て命があって有機的なもの。それを際立たせるための無機質な空間が必要だった」と語る。料理にドリンクや音楽を加えた“120分の小さな旅”を提供することが彼の仕事だ。
西麻布に店を構えて1年が経つ今、彼はすでに次のフェーズを見ている。「これまでのレストランの既成概念を壊したい。コンセプトを味わってほしいわれわれにとって、皿の上だけでストーリーが完結するわけがない。これまでタイコクラブで野外に“本気のレストラン”を作ったことがあったが、これからもフェスをはじめいろんなことに挑戦するかもしれない。コンセプトを料理にできる仲間ができれば、自分はインスピレーションを求めて世界を旅することだってあるかもしれない。とにかく体験を提供するために自分がもっとも楽しい体験をしていきたい」。
PROFILE:1979年生まれ。海上自衛隊の専属シェフや“世界一予約のとれないレストラン”と評されたスペインの「エル・ブリ」での経験を経て、2012年に東京・要町で完全予約制のレストラン「81(エイティワン)」をオープンした。15年に店を西麻布に移し、現在は1日24人限定でコース料理をふるまう
Photos by KO-TA SHOUJI