女性をモチーフにする作品の場合は特に
見た目の美しさだけでなくその人自身の「本質」を引き出せたらと思っています。
時にその人がコンプレックスと思っている部分でさえも、魅力として表現できたら、と。
今年で作品を作り始めて18年になりますが、そこは変わらない部分かな。
自分自身についても、アーティストだから、と気負わずに
なるべく等身大の1人の女性として、作品と向き合うようにしています。
そうすることで、ふっとアイデアが降りてくることも多いので
気持ちをフラットにしたい時は
音楽を聴いたり、アートや映画を観たり……。
なにより、一番大事にしていることは、ワクワクし続けることです。
自分自身に飽きないこと。
私、実は飽きっぽいんです。だからこそ
ライフステージや年齢を重ねる、という変化も含めて、
自分自身が変わっていくことを丸ごと楽しめたらと思っています。
メイクもまた、表現のひとつだと思っています。
だからといって、しっかりとメイクしてしまうより
肩の力を抜いたような仕上がりが好きですね。
デザイン性が高く、色や素材が主張するお洋服を着る時は、
アイシャドウやチークを入れない時もあります。
あえて生っぽい肌の質感にしたい時は日焼け止めに軽くパウダーを重ねるだけ
という日もあります。ひとつのパーツだけを見るのではなくて、
全体のバランスで足し引きを考えるように心がけています。
作品を作る時と同じ感覚かもしれません。
ベースメイクでいうと、肌の質感をすべて隠すよりも
内側から自然に湧き出るような艶感が出るメイクが好みです。
その方が大人の女性らしいと思っています。
「お母さんになったから」、「お母さんなんだから」という意識は特にないんです。
大好きなお仕事に「やるべき大切なことが一つ増えた」という感覚ですね。
それでも、子どもが生まれたことで
今まで自分が見てきた景色の中に新たな視点と責任感が加わり
世界を広げてもらったような気がします。
子どもと一緒に過ごす中では、「余白を作る」ということを大切にしています。
できるだけのびのびと育ててあげたいな、と。
何かと決め付けるのでなくて「いいところ」を見つけて
伸ばしてあげることができれば、と思っています。
この「余白」は、私も同じ。時には、仕事が忙しくて余裕がない時もあります。
けれどそんな時でも、マイナスになるような無理はなるべくしたくないなって。
私はいつも笑顔でいたいし、子どもにも笑顔でいて欲しいから。
まだ子どもが幼いながらも、社会とも接点の多いお仕事。
それは私にとって、とてもありがたい環境なんです。
外に出て人との関わりがあることで、自然と背筋が伸びたり食事に気をつけたり......。
スキンケアやメイクも同様で、仕事があるからこそ「周りに心配をかけたくないな」と
気を使うことも多いです。そんなスイッチが働くことは大きいと思っています。
特別なことはしていないけれど、疲れを感じる時は、おいしいものをたくさん食べて
化粧水をいつもよりたっぷりつけるなど、ちょっぴり贅沢をするようにしています。
それでも気になる部分がある時は、無理やり肌をカバーしようとしなくても
下地やファンデーションで肌質を自然にコントロールすることで
美しく見せられると思うんです。時間がなくても、すべてのパーツのメイクは
頑張れなくても、「今日はリップを主役にしよう」とか
自分なりの頑張りどころを一つ決めるようにしています。
「艶感のあるメイクが好きなので
今回の撮影ではマットな質感なのに
素肌の艶が透けて見えるような肌に仕上がって
楽しかったです。付け心地も軽くて
覆い隠している感覚がないですね」
(清川あさみ)。
アーティスト衣装…ドレスADEAM(ADEAM 03-3402-1019)、ピアス、左手リングWOCTERS & HENDRIX、右手リングDANIERA DE MARCHI(以上H.P.FRANCE本社 03-5778-2022)、シューズ本人私物
マザー衣装…ドレス Saphir East、ケープ Motohiro Tanji(Esteem Press 03-5428-0928) 、リング DELPHINE CHARLOTTE PARmENTIER(H.P.FRANCE本社 03-5778-2022)、シューズ NORITAKA TATEHANA
PHOTOGRAPHER Akihito Igarashi(TRON)
MAKE-UP Naoyuki Akama(Koa Hole)
HAIR Miho Matsuura(TWIGGY)
STYLING Keiko Shimizu(SIGNO)
TEXT Yukino Yagi