Life with Jewelry

女優、バレエダンサー、モデルというマルチな才能を持つアレクシアは、今フランス映画界で注目の若手女優だ。映画のオーディションとバレエの稽古でパリの街をいそがしく駆け回る彼女が、女優として、そして25歳のパリジェンヌとしてこだわりのライフスタイルを語る。

3年前に女優デビュー
今は仕事に夢中の毎日

 7歳の時にバレエを始め、プロのバレエダンサーとして活動すると同時に雑誌や広告のモデルとして活躍。映画「ベルサイユ」(2015年、フランス国内でのみ公開)で女優デビューを果たしたことをきっかけに、本格的に活動の中心を女優業へとシフトしたアレクシア・ジョルダーノ(Alexia Giordano)。すでに4本の映画に出演し、4月末からはラディスラ・ショラ(Ladislas Chollat)監督の新作映画(2019年公開予定)の撮影がスタートして稽古に励む毎日だ。

 「子どもの頃からバレエを習い、パリ国立高等音楽・舞踏学校を経てプロのバレエダンサーになりましたが、背が小さく大きな役があまりもらえませんでした。雑誌『ヴォーグ・イタリア』やブランドの広告の仕事でモデル業をしながら演劇の学校に通っていたところ、偶然旅先で監督にスカウトされて映画『ベルサイユ』で妖精役を演じることになったのです。ベルサイユ宮殿を踊りながら走り回る役で、その時すっかり女優業の面白さに魅了されてしまいました!

 女優の仕事には、自分と全く別の新しい人生をその瞬間だけ生きることができるという醍醐味があります。役に応じてピアノを習ったり違う言語を覚えたりといろいろなことに挑戦して、毎日たくさんの人と知り合う機会があり、とても刺激的です。ただ映画撮影のあまりに濃すぎる日々から日常に戻ると、そのアップダウンの激しさに少し戸惑うことがあります。そんな時は大好きな『ギャラリー・スティミュング(galerie stimmung)』に来て、お茶を飲みながらアートに触れて癒やされるんです」

アートな空間で過ごす時間は
頭をリセットする貴重な機会

 「ギャラリー・スティミュング」はアート界で有名なコレクター、オーギュスタン・ダビッド(Augustin David)のプライベートギャラリー。20世紀初頭の器やアーティストのタペストリー、ランプや竹かごなど、世界各地から時空を超えたアート、工芸品、デザインを集めて、アパルトマンの一室を改造したプライベート空間だ。ドイツ語で「気分」を意味する「スティミュング」の名の通り、さまざまな背景のものが一つの空間に落ち着いて、“時代の気分”を表した空間が出来上がっている。

 「以前はそれほどアートに詳しくなかった私ですが、毎回ここに来るたびに新しいアート作品に触れ、オーナーで友人のオーギュスタンが作品の時代背景や作家の想いなどを一つ一つ丁寧に教えてくれるので勉強になります。友人たちとお茶を飲みに来たり、1人で遊びに来てこの空間でくつろぐのが、何よりもぜいたくなひとときです。役作りに入る前にアート作品に触れると、頭の中が自然とリセットされるんですよ。

 古い時代のものやアンティークの工芸品に惹かれるようになったのは、エコロジカルなライフスタイルを心がけていることも影響しているかもしれません。実は13歳の時にベジタリアンになることを決意して、それから生活スタイルもサステイナブルでエコであることを心がけているんです。洋服もなるべく少ロット生産のブランドやビンテージものを選び、数を最低限に絞っています。今日着ている服はバルセロナの小さなショップで見つけたもので、私の幸運の服と呼んでいます。なぜなら、この服を着てオーディションに行くと決まって合格するんです!」

モダンなオレンジ色の壁面の本棚には、文学、哲学、芸術、詩、音楽などさまざまな本が並ぶ。役作りにも役立つそう

彫刻家として有名なジャン・キャリエによる花瓶(写真下、下段左から2番目)は、日本の茶道に影響を受けた1890年代のもの。ギャラリーには貴重な品々が並ぶ

ジュエリーはストーリーが命

 きゃしゃで繊細な手を持つアレクシアは、ジュエリーにもこだわりがある。お気に入りの「ブシュロン」の“セルパンボエム”のリングは2つ、3つを重ね着けしてボリュームを出すのが彼女のスタイル。

 「もともと金属アレルギーで18K以下のゴールドは着けらなかったため、必然的に本物のジュエリーだけを持つようになりました。今着けている“セルパンボエム”はピンクゴールド、ホワイトゴールド、イエローゴールドの3つのリングを重ね着けするだけで、一気にエレガントさが増すのでお気に入りです。へビがモチーフのリングは、お守りのように私を守ってくれるので毎日着けていたいんですよね。その他にも両親から譲り受けたリングは特に大切に身に着けています。

 パリは建築的にも美しく、素敵なカフェもあり、今の仕事を続ける上では私にとって大切な街。でも10年後、20年後にはもっと自然の多い田舎で暮らしながら、仕事の時だけパリに来るというのが理想だなぁと考えています。旅が好きで、昨年はイスラエルやインドネシア、そしてラオスにも行きました。モデル時代に2度訪れた東京は本当に思い出深く、モダンな部分と伝統的な部分が共存している点が印象的でした。また東京の街を訪れ、今度は日本人監督とのお仕事もできるように自分を磨いていきたいと思っています」

galerie stimmung

パリ第8大学で美術史の教鞭を執るオーギュスタン・ダヴィッド(Augustin David)が運営する完全アポイントメント制のプライベートギャラリー。情熱的なアートコレクターであるオーギュスタンが集めた世界各地の工芸品やデザイン、アート作品が並ぶ。インターネット販売も行い、彼の鋭いアートコラムを目的にサイトを訪れるファンも多い

Boucheron Makes You
Lovely

(左)アレクシアが身に着けているのは、簡単にストラップが交換できるウオッチ“リフレ”。付属の黒パテントレザーストラップのほか、50色を超えるバリエーションのストラップ(別売り)がそろうので気分によって替える楽しみも (右)自然界に美しく咲く花のエッセンスを取り入れた華やかな“リフレ”は、ハイジュエリーコレクションから生まれた160周年のアニバーサリーエディション
(左)ウオッチ“リフレ”(スモールモデル、SSケース、ゴドロンダイヤル〈ダイヤモンド4石〉、カボションサファイア、ブラックパテントレザーストラップ)46万3000円 (右)ウオッチ“リフレ アニバーサリーエディションモデル”(スモールモデル、 SSケース、シェーディングピンクラッカーダイヤル〈ダイヤモンド22石〉、カボションピンクサファイア、ピンクカーフストラップ、世界限定160本)51万円
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Secret Story of Boucheron

1947年に誕生した「ブシュロン」を代表するコレクション“リフレ”。この時計には、ちょっと笑顔にしてくれる小さなサプライズがある。文字盤にふっと息を吹きかけるとパリのヴァンドーム広場のコラム(円柱)が一瞬浮かび上がるのだ

Profile

アレクシア・ジョルダーノ(Alexia Giordano) : 女優、バレエダンサー。パリ国立高等音楽・舞踏学校を卒業後、バレエダンサーとしてキャリアをスタートし、雑誌「マダム・フィガロ」や「ヴォーグ・イタリア」などの他、数々の広告モデルとしても活躍。2015年に女優デビューし、若手女優として注目されている

photographs : Yusuke Kinaka
text & coordination : Keiko Suyama

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