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山本耀司が一問一答 「知りたいなら検索するな。頭しか使わないヤツがデザイナーになれるはずがない」  

 山本耀司「ヨウジ ヤマモト(YOHJI YAMAMOTO)」デザイナーが、2017年度のアジアデザイン ライフタイムアチーブメント賞(DFA Lifetime Achievement Award)を受賞し、その授賞式が香港で12月8日行われた。生涯にわたってデザインという専門分野に貢献した人物に与えられる同賞を受賞した山本が、DFAの質問に答えた9つの回答を公開する。

ークラフツマンシップがファストファッションに取って代わられ、グローバル化がトレンドの同一化を進めているファッション業界だが、この業界に50年近くいるあなたはどう思うか。

山本:簡潔に答えると、ファストファッションはクラフツマンシップを殺したと思っている。もうけるために、発展途上国の人たちを低賃金で働かせ、劣悪な労働システムを生み出している。

ー成功し続けることの秘訣は?

山本:45年間、ファッションのメーンストリームではなく陽のあたらない棘(いばら)の道を歩き続けてきた。これが今日までクリエイションを続けてこれた理由だ。

ーファッションデザインまたはファッション業界のキーワードとは?また、あなたのファッションにおけるポリシーは?

山本:英語の“ファッション”という単語は好きになれない。醜く聞こえる。服は女に魅力を与えられない。魅力とは、服とそれを着る人が出会った時に生まれるものだ。俺はそれを“チャンス”または“偶然”と呼んでいる。

ーあなたのデザインチームとデザインの工程はどのようなものか?

山本:服を作る工程は映画を作る工程と似ている。チームで動き、俺は映画でいうところの監督のような役割を担っている。チームメンバーと常に対話し、“ピンポン”と呼んでいるが、常に意見やインスピレーションを交換し合っている。チームと同じ目線でいることが非常に大切だ。

ーあらためてあなたが黒を操る理由は?

山本:この質問には何度も答えてきたが、デザイナーとしてのキャリアをスタートしたとき、日本の女性はフランス製のとにかく身体のラインを強調するゴージャスでカラフルな服を着ていた。そんな色に飽き飽きしていたし、そんな服に身を包む女性を魅力的とは思えなかった。だから、メンズの服を女性のために、そして誰の目も汚さないように、その魅力を引き出すように、黒で作ることを決めた。なぜ女性がメンズの服を着ているとよりセクシーに見えるのか考えてみてほしい。

ー1999年に立ち上げた「アディダス(ADIDAS)」とのコラボレーションライン「Y-3」だが、このブランドを立ち上げた理由は?またこのブランドに対する思いとビジョンは?

山本:99年、フランスの栄誉あるレジオンドヌール勲章を受章した後、ストリートカルチャーから離れすぎた“高み”に来てしまったという考えが脳裏にあった。そんな時ニューヨークでビジネススーツにスニーカーを合わせている人を見かけ、衝撃が走った。これがスニーカーを作るブランドと組みたいと思ったきっかけだ。それで、自分から「アディダス」に一緒にブランドを始めないかと提案した。自分自身をストリートに戻すために。正直、世界的なスポーツブランドとモードなメゾンブランドが組み、こんな長期のコラボレーションになったことに驚いているし、とても光栄に思う。

ー今日の消費者がファッションと店頭に求めるものは?

山本:商業的な広告が個性を汚染した。広告がブランドのアイテムを持つことがクールだと思わせている。地球温暖化並みに深刻な問題だ。

ーそれを踏まえて、ファッションデザイナーを目指す人たちへのアドバイスは?

山本:若いデザイナーや学生の前で話す機会があればいつも言うのが、何か知りたいことがあるときにインターネットを使うなということだ。自分の身体で歩き、触れ、嗅ぐ。“体験”という言葉は、“体”で“験(ため)”すという意味だ。頭でしかものを考えられないヤツは、デザイナーにはなれない。

ー今まで体験したことがないことで挑戦したいことは?

山本:俺はずっと“髪結いの亭主(女性の収入で楽な暮らしをする男性のこと)”になりたいと思い続けてきた。俺の理想の人生は女の金で生きることだから。皮肉にも俺は女性のために働き、女性のために45年もの間服を作り続けてきた。女性を手助けしたいという気持ちでね。

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