フランスの百貨店プランタン(PRINTEMPS)は、2020年前半までに、ラグジュアリーEC「プランタン・ドットコム(Printemps.com)」を開始する。
パオロ・デ・チェーザレ(Paolo De Cesare)最高経営責任者(CEO)は「ラグジュアリーなブランドやデザイナーと提携していく。ECについても店舗と同じように考え、特定のターゲット層に特化したECサイトを作る。アマゾン(AMAZON)になることは目指さない」と話した。
プランタンは13年にメディア企業TF1 グループ(TF1 Group)からECサイト「プラース ドゥ タンダンス(Place des Tendances)」を買収し、コンテンポラリーブランドなどを販売しているが、新ECサイト「プランタン・ドットコム」で高級志向のニーズにも応える。同CEOは「『プラース ドゥ タンダンス』の競合相手は『エイソス(ASOS)』や『ザランド(ZALANDO)』だが、これから立ち上げるECサイトの競合相手は『ネッタポルテ(NET-A-PORTER)』や『マッチズファッション ドットコム(MATCHESFASHION.COM)』だ」という。
また、プランタンはそのネームバリューを存分に発揮してECを展開するという。同CEOによると「当社は旗艦店とECサイトを密接に連携させていく。どうやら他社は小売店とECサイトの連携をあまり重視していないようだが、私はその共存がとても重要になると思う。実際に、EC企業は旗艦店となる実店舗の立ち上げに投資をしている」と語り、「ファーフェッチ(FARFETCH)」による英老舗セレクトショップのブラウンズ(BROWNS)の買収や、「マッチズファッション ドットコム(MATCHESFASHION.COM)」がロンドンの高級地区にオープンした実店舗を引き合いに出し、「EC企業は実店舗を持つことで、ただのデジタルエキスパートではなく、信頼に足る企業であろうとしている。当社にはすでに素晴らしい店舗がある。われわれの店舗の価値をデジタルに取り込んでいけば、きっとうまくいくはずだ」と語り、米国の百貨店はその点でヨーロッパより進んでいると話した。
現在ECの売り上げは全体の6~7%らしいが「プランタン・ドットコム」の開設3~4年後には少なくとも全体の10%、将来的には15~20%を見込んでいるという。
フランス国外に向けても積極的であり、パリの店舗に来られなくても、世界中に商品を提供できるようにしたいという。すでにECの顧客は国外からが半数を占めており、毎週40~50の国々に発送しているそうだ。国外へのさらなる拡大のため、同社は600万ユーロ(約7億6800万円)をEC設備に投資する。