ゴールドウインの2019年3月期決算は、売上高が前期比20.6%増の849億円、営業利益は同67%増の118億円、経常利益が同65.7%増の129億円、純利益が同78.6%増の92億円だった。売上高は9期連続の増収で過去最高を23年ぶりに更新し、営業利益は11期連続の増益、経常利益は6期連続の増益で100億円を突破するなど、利益は全て過去最高を更新した。
「ザ・ノース・フェイス(THE NORTH FACE以下、TNF)」や「ヘリーハンセン(HELLY HANSEN)」などアウトドア事業の売り上げが同30.8%増の646億円と、前年度(同24.9%増)に続き大きく伸長した。全国に148店舗(当期8店舗増)を構える直営店の売り上げは2ケタ成長を維持した。卸先でもアウトドア関連の商品や街着としても着られるライフスタイル商材が好調に推移したため、自主管理店舗の売り上げ比率は前年度と同じ56%だった。一方、アスレチック部門はスイムウエアの「スピード(SPEEDO)」やゴルフの「ブラック&ホワイト スポーツウェア(BLACK & WHITE SPORTSWEAR)」が苦戦し、同8.2%減の138億円だった。
西田明男社長は好調のアウトドア事業について「世間でアウトドア志向の気運が高まっているので、成長の可能性はまだまだある」と期待する一方で、「TNF」が街着としても浸透していることについては「一時的なブームにならないようにしないといけない。街着としてだけではなく、実際にアウトドアで使える商品を今後も提案していきたい」と慎重な考えを示した。4月には東京・原宿の「TNF」1号店をアウトドア専門店「ザ・ノース・フェイス マウンテン」に改装し、すぐ隣に若者にライフスタイルを提案する新店舗「ザ・ノース・フェイス オルター」を出店した。
今後は自社ブランド「ゴールドウイン(GOLDWIN)」の北米への出店を19年内に予定し、「ウールリッチ(WOOL RICH)」の店舗数拡大など店舗投資を行う。また高まる需要に対して適切なタイミングで商品を店頭に投入できるようにするため、インフラ関連にも積極的に投資していくという。
20年3月期の売上高は前期比8.3%増の920億円、営業利益は同5.4%増の125億円、経常利益は同6.3%増の138億円、純利益は同4.9%増の97億円と増収増益を見込む。これに伴い、21年に向けた中期経営計画の数値目標を18年11月の発表からさらに上方修正し、売上高970億円(修正前は900億円)、営業利益135億円(同110億円)、経常利益150億円(同115億円)とした。