ユナイテッドアローズの2023年4〜12月期は、暖冬で重衣料の売れ行きが振るわず増収ながらも減益だった。賃上げと新たな会員サービスUAクラブの宣伝費に伴い、販管費率が0.9ポイント上昇して利益を押し下げた。売上高は前年同期比3.8%増の997億円、営業利益は同8.9%減の58億円、純利益は同2.0%減の42億円だった。
これまでセールの抑制と粗利益率の向上に努めてきたが、今期については「暖冬を想定していたにも関わらず防寒衣料への依存度が高く、結果的にプロパー販売を伸ばしきれなかった」(松崎善則社長)。事業別では、主力業態の「ユナイテッドアローズ(UNITED ARROWS)」と「ビューティー&ユース ユナイテッドアローズ(BEAUTY & YOUTH UNITED ARROWS)」の売り上げは8.7%増と好調に推移したものの、粗利益率は想定より2ポイント程度下回った。
これを踏まえ春夏以降、「シーズンレスアイテムの強化とこれまでと異なるトレンドアイテムの提案」に注力する。また今春にはミレニアル、Z世代に向けた新ブランド「アティセッション(ATTISESSION)」が始動する。従来のポートフォリオにはないテイストで新規顧客の開拓を目指す。そのほか、中期経営計画期間内に複数ブランドをローンチ予定。
課題は同社がミッドトレンドマーケットと呼ぶ「グリーンレーベル リラクシング(GREEN LABEL RELAXING)」(以下GLR)と、苦戦が続く「コーエン(COEN)」だ。「GLR」については「当社でなくてはならない商品の訴求が足りなかった点が反省だ」といい、「GLR」春夏シーズンから売れ筋のインポートブランドを中心に訴求するなど修正を加えている。また「コーエン」は、秋冬からの新MDに磨きをかけ春夏以降の改善を目指すという。
賃上げについては、来期も平均5〜6%程度を計画中だ。