大手SPA、セレクトショップ、専門店の2019年9月の売上高(既存店ベース)は、残暑の影響で秋物の動きが鈍る中、増税前の駆け込み消費の有無で明暗が分かれた。高額アイテムまでそろえるセレクトショップは高価格帯のアウターやアクセサリーが売れて業績を伸ばしたが、アイテムが全体的に値ごろなSPAは増税前の買い物のお得感が少なく、客数が伸びなかった。
ユナイテッドアローズは小売りとECの既存店売上高は前年同期比9.1%増。メインラインの「ユナイテッドアローズ(UNITED ARROWS)」を擁する第一事業部が売り上げをけん引した。インポートブランドなどのダウンジャケットや「クロムハーツ(CHROME HEARTS)」など高額品が好調で、「増税前を買い替えのタイミングととらえるお客さまが多く、結婚式用のフォーマルなどもよかった」(同社広報)。
良品計画の「無印良品」も、月後半から高額な寝具や家具などがけん引し、直営既存店の売上高は同21.9%増。キッチン用品や事務用品、化粧品などのまとめ買いも多かった。衣類では靴下の3足のまとめ買いの価格を890円から790年に引き下げる「価格見直し」が奏功した。
一方、「ユニクロ」の小売りとECの既存店売上高は同4.2%減。「ユニクロユー(UNIQLO U)」のウィメンズ商品の“カーブパンツ”や“ボリュームニット”などのテレビCMで訴求した商品はよかったものの、気温の高止まりで秋物の動きが鈍かったことが響いた。月後半にかけては「駆け込みの影響からか売り上げの数字は若干上向いたものの、業績全体を持ち上げるほどの影響はなかった」(同社広報・IR担当)。
アダストリアはECを含む既存店売上高が同1.1%増と伸ばしたが、「駆け込みの売り上げへの影響はほとんどなかった」(同社広報)。12日までの自社EC「ドットエスティ(.ST)」の停止も響き、「売り上げ全体で3ポイントほどの損失になった」とみる。9月下旬からは長袖シャツなどの秋物が本格的に動き出し、ブランド横断キャンペーンを売っているマウンテンパーカーがけん引。会員向けのポイント還元施策も奏功した。