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南仏プロヴァンス発「パルファム ドゥ ラ バスティード」 有名香水ブランドを育てたキーマンが作るライフスタイル・フレグランスとは

 香水の輸入販売大手のブルーベル・ジャパンにより昨秋日本に初上陸した仏ライフスタイル・フレグランス「パルファム ドゥ ラ バスティード(PARFUMS DE LA BASTIDE)」。同社が新しいチャネル開拓を模索する中で、日本人のライフスタイル空間に香りを提案する場として郊外型モールに出店が進むコスメティックチェーンに注目し、そこにマッチするライフスタイル・フレグランスをという戦略のもと導入に至った。同ブランドは「アニック・グタール(ANNICK GOUTAL)」をはじめ多くの有名香水ブランドにマーケティングトップとして携わり、ラグジュアリービジネスと国際ビジネスでキャリアを築いた2人によって2014年に南仏プロヴァンスで誕生した。ナチュラルな素材を使ったオードパルファムのほか、キャンドルやホームスプレーを展開。2月19日にはランドリーソープのほか小さいサイズのオードパルファムやキャンドルなどの新商品を発売する。共同設立者2人が多忙な生活を経て行き着いた、“スローライフ・フレグランス”の真髄を聞いた。

WWD:グローバルなフレグランスブランドを数多く手掛け、特にアジアでのビジネスに深く関わってこられましたが 、ライフスタイル・フレグランス「パルファム ドゥ ラ バスティード」を立ち上げた理由は?

ウィリアム・ブエレ共同設立者兼社長(以下、ブエレ): 30年以上にわたって香水ブランドに携わってきましたが、香水ビジネスがグローバルになりすぎていると感じていました。本来の意味で香りをクリエイトするというより、イメージやマーケティングに偏っているのではないかと。そんな中で、創造性を持って香りを作りたいという思いからブランドを立ち上げました。マーケティングを重視していないのでターゲットも定めていませんし、売り上げ目標も予算も持っていません。ノウハウを持った職人の手を借りながらトレーサビリティーを確立した製品を作っています。

WWD:“スローライフ・フレグランス”のコンセプトはどこから生まれたのでしょう。

ブエレ:一番のインスピレーション源はフランスのワイナリーです。特に、高級なワイナリーの哲学から影響を受けました。偉大なワインを意味する“グラン・ヴァン”を生み出すワイナリーでは、“テロワール”といわれる要素、それはブドウが育つ場所や気候、土壌を意味しますが、それらを非常に重視してワインを造ります。それと同じことを香水でもやってみようと。われわれにとっての“テロワール”は南仏プロヴァンスであり、その土地の気候や風土から最高のものを引き出して香りで表現したいという思いから生まれました。

アン=セシル・ヴィダル共同設立者兼最高業務責任者(以下、ヴィダル):何世紀も前から香水産業が盛んで、香水の故郷ともいわれる都市グラースも南仏プロヴァンス地方にあります。プロヴァンスは太陽の光や自然が豊かで山もあれば海もあって風土や植物、花々も豊富です。ですから香水に携わってきた私たちにとってプロヴァンスのコンセプトはある意味で原点だと言えます。

「プロヴァンス発のブランドは
香水ビジネスの原点回帰」

WWD:今日では香水の都はパリというイメージが強くなっています。

ブエレ:1950年代までは全ての香水はプロヴァンスから発信されていましたが、今ではほとんどがパリ近郊に移っています。なぜかというと、パリから発信されるオートクチュールを発表しているようなラグジュアリーブランドは、洋服が高価すぎて誰もが買えるわけではないため、もう少し手を伸ばしやすいものとして、そうしたブランドがいろいろなアクセサリーを作るようになったからです。その一つが香水で、香りはブランドのシグネチャーになりうるものなので、パリの印象が強くなったのでしょう。

WWD:「パルファム ドゥ ラ バスティード」の特徴は何でしょうか。

ブエレ:先ほど述べたようにプロヴァンスの豊かな自然や文化を香りの核としていることとが一つです。もう一つは、香水は人が生きていくためにどうしても必要ではなく、喜びを与えてくれるもの。だから楽しいと思えるものを作ろうというのがブランドとしてのポリシーでもあります。

WWD:香りそのものや製造方法にこだわりは?

ブエレ:全製品がプロヴァンス地方のいろいろな土地をテーマにしているのでプロヴァンスを旅しているように感じられると思います。天然素材を使いながら伝統的な職人の技と今日的な科学技術とうまく組み合わせることで、自然な素材を使っていても最低限の保存料で済ませることを可能にしています。シンプルでナチュラルなものを目指したので着色料も使っていません。ナチュラルをうたうブランドは今多く出てきていますが、香りのシグネチャーという意味では少し物足りません。われわれはそうしたシグネチャーとなる香りを持ちながら、ラグジュアリーという位置づけの中でホームフレグランスを展開しています。

WWD:プロヴァンスを拠点にフランス国内外でどのようにブランドを展開していくのか、今後の構想を教えてください。

ブエレ:われわれはリテールブランドであると考えているので、やるべきことは自分たちの販売網を確立するということです。

ヴィダル:もしフランス国内で次に店舗を開くとしたらカンヌやニースのような南仏の都市になるでしょう。2号店を開くのであれば日本や韓国、ドバイなどになると思います。未来のことは分かりませんが、パリに行くということは考えていません。プロヴァンスには外国からたくさんの人の来訪がありますし、パリに行く理由はあまりありません。まずはアジアで展開し、ヨーロッパではドイツやオーストリアなどゲルマン系のエリアでの展開を考えていくと思います。

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