「モンクレール(MONCLER)」が世界中のクリエイターと協業する「モンクレール ジーニアス(MONCLER GENIUS以下、ジーニアス)」に2019-20年秋冬コレクションから参加しているのが「1017 アリックス 9SM(1017 ALYX 9SM以下、アリックス)」のマシュー・ウィリアムズ(Matthew M. Williams)だ。1月のメンズ・コレクション期間中には、両者による「6 モンクレール 1017 アリックス 9SM(6 MONCLER 1017 ALYX 9SM)」の発売を祝したイベントがイタリア・ミラノの直営店で開かれ、若い世代を中心に大勢が来場して深夜まで盛況だった。
「アリックス」はウィメンズブランドとして15年に設立され、17-18年秋冬シーズンからメンズも始動させると、ストリートウエアの寵児として瞬く間に脚光を浴びた。アイコニックなベルトのバックルやボディーバッグなどキャッチーなアクセサリーと、インダストリアルなムードをにじませたシャープなウエアが高い評価を受け、「マッキントッシュ(MACKINTOSH)」や「ナイキ(NIKE)」との協業や、キム・ジョーンズ(Kim Jones)率いる「ディオール(DIOR)」メンズ・コレクションのチームに参加するなど引く手あまたである。なぜ、ウィリアムズのもとにラブコールが届き続けるのだろう――話を聞くと、彼の揺るぎないデザイン哲学が見えてきた。
「僕は直感を信じ、
ベストを尽くすだけ」
WWD:「ジーニアス」参加のきっかけや経緯を教えてください。
マシュー・ウィリアムズ(以下、ウィリアムズ):レモ・ルッフィーニ(Remo Ruffini)会長兼最高経営責任者(CEO)から、「ジーニアス」 プロジェクトに参加してくれないかというアプローチを受けたんだ。僕自身、何年にもわたって「モンクレール」のファンだったから、彼らと仕事ができることはとても光栄なことだった。「モンクレール」はデザインやマーケティング、リテールのとらえ方に関して先進的な知識と考えを持っていたからね。
WWD:「6 モンクレール 1017 アリックス 9SM」のデザインでは「モンクレール」というブランドをどう解釈して表現した?
ウィリアムズ:「アリックス」のファスナーやバックル、オーバーダイ加工といった核となる要素と、「モンクレール」のアイコニックなダウン素材や、厳しい寒さにも耐えられるテクノロジーを融合して発展させたんだ。
WWD:ディテールやインダストリアルなムードは「アリックス」のコレクションにとても近いクリエイションだと感じたが、協業だからこそできた新しいチャレンジは?
ウィリアムズ:新たなファブリックであるナイロンなどを使ったデザインはチャンレジだったし、とても面白かった。ほかにも、2つの異なるDNAを持つブランドをマッチさせるためにたくさんの挑戦があったが、結果にはとても満足している。お互い学んだことは多かったと思う。
WWD:協業前と協業後で「モンクレール」に対する意識は変わった?
ウィリアムズ:さきほど言った通り僕はずっと「モンクレール」のファンで、クラフツマンシップは高く評価していた。「ジーニアス」に参加して彼らからチームやサプライヤー、アーカイブや研究を紹介してもらって、その思いはますます強くなった。レモ会長をはじめ、ファンだったブランドと仕事ができたことは素晴らしい経験だったよ。
WWD:「マッキントッシュ」「ナイキ」「ディオール」などタイプの異なるブランドとのプロジェクトに参加し、自身のクリエイションに変化はあった?
ウィリアムズ:自分で感じる変化は特にないんだ。なぜなら僕のデザインプロセスは常に一貫しているから。でも、それぞれのプロジェクトでサイジングやスタイル、クオリティーが全て違っていたから、そういう点ではさまざまな経験ができたとは思っている。
WWD:今後「アリックス」をさらに成長させるためには何が必要だと考える?
ウィリアムズ: 特に何かにこだわることは考えていないんだ。自分が好きだと感じた直感を信じて、毎日ベストを尽くすだけさ。