プラダ グループ(PRADA GROUP)の2019年12月通期決算は、売上高が前期比2.6%増の32億2559万ユーロ(約3806億円)、営業利益(EBIT)は同5.2%減の3億677万ユーロ(約361億円)、純利益は同24.5%増の2億5578万ユーロ(約301億円)だった。純利益の大幅な増加は、欧州のパテントボックス制度(知的財産などから生じる収入に対する税制優遇策)の恩恵を受けたことが主な理由だ。
地域別での売上高では、ヨーロッパが同3.2%増の12億2843万ユーロ(約1449億円)、南北アメリカは同6.8%増の4億5540万ユーロ(約537億円)、日本を除くアジア太平洋地域は同1.6%減の10億1759万ユーロ(約1200億円)だった。なお、日本は同10.2%増の3億8606万ユーロ(約455億円)と2ケタ台の伸びを見せた。これは19年12月末時点で直営店が85店と前年の81店から増加したことに伴い、小売りでの売り上げが現地通貨ベースで同1.8%増となったことや、定価での売り上げが同6.3%増となったことなどが寄与している。
ブランド別では、売り上げの8割以上を占める「プラダ」の売上高が同3.3%増の26億4334万ユーロ(約3119億円)だったが、「ミュウミュウ(MIU MIU)」は同0.6%減の4億5049万ユーロ(約531億円)だった。
パトリツィオ・ベルテッリ(Patrizio Bertelli)最高経営責任者は、「ここ数年の戦略が奏功して、19年も力強く進化して売り上げを伸ばすことができた。比類のない質の高さを維持し、ブランドの魅力をさらに強化することで長期的な成長を実現するという当社の方針が正しかったことを確信している」と語った。
同氏はまた、「20年も年明けからしばらくは好調だったが、新型コロナウイルスの感染拡大が売り上げの障害となっている。当社は世界中の顧客や従業員の安全と健康を最優先に考えており、この危機的な状況を共に乗り越えるべく、あらゆる支援を惜しまない所存だ。業績に対する影響を予想することは難しいが、マイナス要因となることは間違いないだろう。しかし柔軟なサプライチェーンと無駄のない組織構造を生かした緊急対応策を導入し、影響をできる限り抑制したい。こうした中でも当社は健全な財務状態を保っており、事態の収束後に需要が戻ってきた際にはそれをしっかり捉えていけると考えている」との見解を示した。