ファッション
連載 今、デザイナーができること

連載「今、デザイナーができること」Vol.1 三原康裕「業界の不快な茶番劇が変わる機会になれば」

 新型コロナウイルス感染拡大の影響で、世界中で不透明な状況が続いている。そんなときに、ファッションは何ができるのか。生産者から販売員まで業界全体が不安を抱えている状況に、ファッションデザイナーたちは何を思うのか。日々変化する状況に対応しながら、それでもファッションの力を信じ続けるデザイナーたちの声を連載で紹介する。初回は、デザイナー歴24年で1月にはパリ・メンズ・コレクションにも参加した「メゾン ミハラヤスヒロ(MAISON MIHARA YASUHIRO)」の三原康裕が、「肥満する業界」に提言する。

MAISON MIHARA YASUHIRO

三原康裕デザイナー

Q.今、デザイナーができることは?

A.仕事の意味を見直すよい機会だと思っている。しかしファッションデザイナー全員が慈善的な人間だと勝手に決めつけないでもらいたい。そこまでIQの高い職業ではない。ファッションデザイナーはこんな状況でも“新しい何か”を考え続ける、偏愛の強いエゴイスト。世の中に必要不可欠なもの考える人々を称賛はするが、私たちは“ファッション”という純粋な狂気に従順だ。だから私もこんな状況でもいつも通り、日々の生活から生まれるエゴイスティックなクリエイションを続けている。それが私たちファッションデザイナーだから。1996年から“デザイナー”という仕事を続けているが、今の状況は確かに異常である。ただ、すでにテクノロジーの進化とともにファッションも肥満し、以前の世界とは変わり果ててしまっていた。ある時代から何か不愉快な世界になってしまったというか、もう取り返しのつかない状況になっていたのは多くの人も感じていたはず。だからある意味、いい機会ではあると思う。このファッション業界の不快な茶番劇が変わる機会になればと願う。


【自社での取り組み】

 新型コロナウイルス感染対策への支援として、ブランドの公式サイトで支援機関のウェブサイトをシェアする試みを開始した。また、オンラインストアでアーカイブコレクションを初めて販売し、売上金の一部を支援金として寄付するという。


関連タグの最新記事

最新号紹介

WWDJAPAN Weekly

2025年春夏ウィメンズリアルトレンド特集 もっと軽やかに、華やかに【WWDJAPAN BEAUTY付録:2024年下半期ベストコスメ発表】

百貨店、ファッションビルブランド、セレクトショップの2025年春夏の打ち出しが出そろった。ここ数年はベーシック回帰の流れが強かった国内リアルクローズ市場は、海外ランウエイを席巻した「ボーホー×ロマンチック」なムードに呼応し、今季は一気に華やかさを取り戻しそうな気配です。ただ、例年ますます厳しさを増す夏の暑さの中で、商品企画やMDの見直しも急務となっています。

詳細/購入はこちら

CONNECT WITH US モーニングダイジェスト
最新の業界ニュースを毎朝解説

前日のダイジェスト、読むべき業界ニュースを記者が選定し、解説を添えて毎朝お届けします(月曜〜金曜の平日配信、祝日・年末年始を除く)。 記事のアクセスランキングや週刊誌「WWDJAPAN Weekly」最新号も確認できます。

ご登録いただくと弊社のプライバシーポリシーに同意したことになります。 This site is protected by reCAPTCHA and the Google Privacy Policy and Terms of Service apply.

メルマガ会員の登録が完了しました。