コンパニー フィナンシエール リシュモン(COMPAGNIE FINANCIERE RICHEMONT以下、リシュモン)の2020年3月通期決算は、売上高が前期比1.7%増の142億3800万ユーロ(約1兆6516億円)、営業利益が同21.8%減の15億1800万ユーロ(約1760億円)、純利益は同66.5%減の9億3100万ユーロ(約1079億円)だった。純利益の大幅減は、主に大手EC企業ユークス ネッタポルテ グループ(YOOX NET-A-PORTER GROUP)を完全子会社化する前から保有していた同社株式の再評価によって、税引き後の含み益が18年上期に13億7800万ユーロ(約1598億円)発生したためだ。
地域別の売上高では、ヨーロッパが同4.3%増の42億9800万ユーロ(約4985億円)、南北アメリカは同10.0%増の28億600万ユーロ(約3254億円)、日本を除くアジア太平洋地域が同4.7%減の49億9200万ユーロ(約5790億円)、日本が同5.5%増の12億1200万ユーロ(約1405億円)だった。ただしこれには為替の影響もあり、現地通貨ベースでは南北アメリカが同6%増、日本は同1%減だった。
部門別の売上高では、「カルティエ(CARTIER)」や「ヴァン クリーフ&アーペル(VAN CLEEF & ARPELS)」が堅調なジュエリー部門が同1.8%増の72億1700万ユーロ(約8371億円)だった。一方で、ウオッチ部門は同4.0%減の28億5900万ユーロ(約3316億円)だった。
なお、新型コロナウイルスのパンデミックが発生した20年1〜3月で見ると、全体の売上高は前年同期比18%減だったが、アジア太平洋地域は同36%減、中でも中国は同67%減と大きな打撃を受けている。ヨーロッパは同9%減、米国は9%増だった。
ヨハン・ルパート(Johann Rupert)=リシュモン会長は、「短期および中期的にはパンデミックによる一定の影響があるものの、長期的に見てジュエリーなどのハードラグジュアリーの強さは盤石だ」と語った。同氏はまた、「中国ではリシュモン傘下のブランドが展開する462の店舗が営業を再開しており、顧客からの強い需要がある。しかし、その他の市場が中国のように急速に回復するのは難しいだろう。1年以上、ともすれば3年程度は深刻な状態が続くのではないか。悲観的すぎるかもしれないが、こればかりは誰にも分からない」との見通しを示した。