三陽商会は2020-21年秋冬シーズンで、全ブランドの仕入額(下代ベース)を前年同シーズン比50%削減する。同社は長年の業績不振から脱するためのコスト構造改革を進めており、その柱の一つが大幅な仕入れの削減だ。
各ブランドがコレクションの幅、奥行きともに大胆に減らす一方で、新型コロナウイルス、暖冬など消費環境の変化の中、購買の決め手となる付加価値の高い商品企画に注力した。婦人服を扱う8ブランドでは、機能性アウターや海外生地を使った見栄えのいいジャケットなどをそろえ、商品の平均単価は19-20年秋冬の平均よりも5%ほど高くなった。
「ポール・スチュアート(PAUL STUART)」ではトレンド重視の“コレクションライン”を縮小する一方、強みのエグゼクティブキャリア向けにビジネス服を拡充。20年春夏でも好評の「軽い着心地」「シワになりにくい」「家庭洗濯可能」など機能性を備えたセットアップシリーズ“ビジネストリップ”を、秋冬はフラノ素材にアップデートして継続展開(ジャケット5万8000~6万円、パンツ3万6000円、スカート3万3000円)する。
重衣料が強みの「マッキントッシュ ロンドン(MACKINTOSH LONDON)」はブラウスなど軽衣料の割合を全体の65%(19-20年秋冬は47%)まで高め、暖冬や在宅ワーク需要に対応する。コートもライナーダウンを取り外して、それぞれ単体使用も可能な3ウエイの非ウールコート(9万円)や、ストレッチと撥水機能を備えたポケッタブルなもの(5万3000円)などを打ち出す。
「エポカ(EPOCA)」の目玉は、環境負荷低減と着心地の良さを両立したイタリア産ミュージングウールを使ったニットシリーズ。プルオーバー(2万9000~3万6000円)、ボトムス(3万6000~4万3000円)、ドレス(5万9000円)をそろえた。