ビジネス

「どうしましょう?」には答えません!! エディターズレターバックナンバー

※この記事は2020年2月26日に配信した、メールマガジン「エディターズレター(Editors' Letter)」のバックナンバーです。最新のレターを受け取るにはこちらから

「どうしましょう?」には答えません!!

 「生真面目だから」でしょう。そして私は「不真面目だから」、感覚がちょっと違うのでしょう。とかく日本人はルールを設けがちで、ハッキリ言って辟易しているのです。例えば我が社で多いのは、「何を取材して、何を取材しないか?」とか「何が有料記事で、何が無料記事か?」みたいなヤツ。こういう議題になるたび、「考える順序が違うのでは?」って思うのです。それは究極、「取材したんですが、面白くなかったので記事化しなくて良いと思うんです。どうでしょう?」とか、「読者の皆さんから、お金を頂戴できるほど価値ある記事のつもりです。いかがですか?」という現場からの声を是々非々で考えるべきものではないのか?そして、経験値の高い編集・記者の仕事は、後輩が、そんな質問をしやすい環境を整えることであり、ルールを作ることではないと思うのです。

 ルールを設けすぎることで危惧するのは、「え、だってルール守ってますよ」みたいな感覚に陥り、自発的に考える姿勢を失ってしまうことです。またも社内の例で恐縮ですが(苦笑)、編集会議で企画について話している時、僕が「ソレって、WWDっぽいの?」と聞いたことが災いしたと思うのですが、会議の直後、デスク陣は現場から「WWDっぽさ、ってなんですか?」みたいな質問の浴びせ倒しに遭ったそうです。実は私、ぶっちゃけ「WWDジャパン」って記者が業界のためと信じているなら何をやっても良い媒体だと思っているし、記者にはやりたい事をやりたいようにやって欲しいと願っているし、そもそも「WWD JAPAN.com」のコンテンツが不足していた数年前は「そんなこと、構ってられない」事情も手伝い、「WWDらしさ」みたいなものを敢えて明言せず今に至っています。だからこそ現場は「WWDっぽさ」を聞くのでしょう。デスクからその話を聞いた時、「えへ」と笑ってごまかしました(笑)。それこそ、自分で考えて欲しいんです。もしくは、せめて「僕に聞いてこい!!」って話です。「僕は、こう思っているんだけど……」と、僕にとっての「WWDっぽさ」をお話しします。そこからは、自分で考え、それぞれの「WWDっぽさ」を見出して欲しいものです。あ、やっぱり先週のメールで内省したように、話しかけづらいのかしら(笑)。ちなみに、こういうお手紙を事前予告無しに、社内に向けても配信すること自体が、さらに話しかけづらくさせていることは、理解しております?

 会社では気になった時、「『どうしましょう?』の質問には答えません!」と話しています。“お小言オジさん”です(笑)。実際、LINEなどで「どうしましょう?」の連絡が来た時は、マジで「その質問には、答えません」と返信します。「僕はこう思うんですが、どうですか?」とか「私はそっちかなぁ、と思うんですけど」という質問になって初めて返答するのです。「どうしましょう?」に答えちゃうと、その瞬間から、僕の答えがなんらかのルール、もしくは判例みたいになってしまい、以降自発的に考えずに従ってしまうのでは?と思っています。だから、答えない。こと記者や編集者のように自由度の高い仕事のルールは、メディアではなく、組織を維持するのに必要な最低限で良いと考えるのです。

 時代は今、プラットフォームと言われますよね?プラットフォームって、そんなカンジだと思うんです。プラットフォームがプラットフォームであるための必要最低限のルールはあるけれど、それを守っている限り、個々は自由に活動できる。いや自由じゃないと、プラットフォームに意味はない。そして逆を言えばプラットフォーム側は、同じルールを遵守する同じタイプなんて複数は必要ない。そんなフレームワークだと思っています。私は同僚と、後輩と、そしてユーザーの皆さんと、そんな関係になりたいのです。

FROM OUR INDUSTRY:ファッションとビューティ、関連する業界の注目トピックスをお届けする総合・包括的ニュースレターを週3回配信するメールマガジン。「WWD JAPAN.com」が配信する1日平均30本程度の記事から、特にプロが読むべき、最新ニュースや示唆に富むコラムなどをご紹介します。

エディターズレターとは?
「WWDジャパン」と「WWDビューティ」の編集者から、パーソナルなメッセージをあなたのメールボックスにダイレクトにお届けするメールマガジン。ファッションやビューティのみならず、テクノロジーやビジネス、グローバル、ダイバーシティなど、みなさまの興味に合わせて、現在9種類のテーマをお選び頂けます。届いたメールには直接返信をすることもできます。

関連タグの最新記事

最新号紹介

WWDJAPAN Weekly

疾走するアシックス 5年間で売上高1.8倍の理由

「WWDJAPAN」11月4日号は、アシックスを特集します。2024年度の売上高はコロナ前の19年度と比べて約1.8倍の見通し。時価総額も2兆円を突破して、まさに疾走という言葉がぴったりの好業績です。売上高の8割以上を海外で稼ぐグローバル企業の同社は、主力であるランニングシューズに加えて、近年はファッションスニーカーの「オニツカタイガー」、“ゲルカヤノ14”が爆発的ヒットを記録したスポーツスタイル…

詳細/購入はこちら

CONNECT WITH US モーニングダイジェスト
最新の業界ニュースを毎朝解説

前日のダイジェスト、読むべき業界ニュースを記者が選定し、解説を添えて毎朝お届けします(月曜〜金曜の平日配信、祝日・年末年始を除く)。 記事のアクセスランキングや週刊誌「WWDJAPAN Weekly」最新号も確認できます。

@icloud.com/@me.com/@mac.com 以外のアドレスでご登録ください。 ご登録いただくと弊社のプライバシーポリシーに同意したことになります。 This site is protected by reCAPTCHA and the Google Privacy Policy and Terms of Service apply.

メルマガ会員の登録が完了しました。