「カルティエ(CARTIER)」は、女性起業家を支援する国際ビジネスコンペティション「カルティエ ウーマンズ イニシアチブ(Cartier Women's Initiative以下、CWI)」の2020年度の受賞者7人を発表した。162カ国以上に及ぶ1200人の応募者の中から独立した国際審査団によって選ばれたのは、地球の未来に向けた課題解決に貢献するリーダーたちだ。各受賞者には賞金10万ドル(約1000万円)が授与されるほか、14人のファイナリストもそれぞれ3万ドル(約300万円)を手にする。そして最終選考に残った21人全員に、財務に関する専門的な助言サービスや個別の戦略コーチング、メディアへの露出、国際ネットワーク構築の機会に加えて、世界最大級のビジネススクールであるINSEADの経営幹部教育プログラムへの参加資格も与えられる。
「CWI」は06年の設立以来、56カ国240社以上の女性が率いるビジネスを支援し、7000以上の雇用を生み出してきた。また、これまでに300万ドル(約3億円)を超える資金を提供し、今や女性起業家を幅広く支援する世界最大のコンテストの一つになっている。対象は設立5年以下の企業で、少なくとも1年間は収益を上げていることと、200万ドル(約2億円)以上の効果の薄い資金調達を行っていないことが条件。この取り組みを通じて、女性への財務的、社会的、そして資格や学歴などの人的資本的な支援を提供し、ビジネスの拡大とリーダーシップの育成を目的とする。
メルセデス・アブラーモ(Mercedes Abramo)北米カルティエ社長兼最高経営責任者(CEO)は、「世界中のみんなが今は困難な状況を強いられ、今回選ばれた21人も駆け出しの起業家として、それぞれの試練に直面しているだろう。そして、私は彼女たちのような素晴らしい女性を知り、どのようにこの数カ月を乗り越えてきたかを学ぶ中で、強く感銘を受けた。明るいニュースが少ないように感じられるときでも、自身のコミュニティーや世界に対して社会的・環境的影響をもたらす女性たちの支えになれることをうれしく思う」と語った。
なお、新型コロナウイルス感染拡大の影響により、20年度の「CWI」授賞式の開催は中止になった。今年度の受賞者とファイナリストは、「CWI」の15周年にあたる21年5月26日にボストンで開催予定の授賞式であらためて表彰される。
20年度の「CWI」受賞者は、以下の通り。
・北米:ステファニー・ベネデット(Stephanie Benedetto)、ニューヨーク
企業名:クイーン・オブ・ロー(QUEEN OF RAW)
不良在庫のテキスタイルの売買を通して、廃棄に代わるサステナブルな活用法を促進するオンライン市場を運営。
・中南米およびカリブ海地域:アドリアナ・ルナ・ディアス(Adriana Luna Diaz)、メキシコ
企業名:ティエラ・デモンテ(TIERRA DE MONTE)
バクテリアや菌類を利用して植物の繁殖力と土壌の肥沃度を回復させ、病や害虫を安全で効果的に管理するテクノロジーを開発。
・東アジア:チュングアン(シャーロット)・ワン(Chunguang/Charlotte Wang)、中国
企業名:イコータ エネルギー(テクノロジー)上海(EQUOTA ENERGY/TECHNOLOGY SHANGHAI)
データ分析主導の効率化ソリューションプロバイダー。顧客のリアルタイムのエネルギー消費量を算出し、コストと環境負荷の削減を提案。
・南アジアおよびオセアニア:ジョアン・ハワース(Joanne Howarth)、オーストラリア
企業名:ウールパック オーストラリア(WOOLPACK AUSTRALIA)
温度に敏感な商品輸送のために、環境に配慮したウール製断熱パッケージを製造。
・ヨーロッパ:アナ・ソフィー・ハートヴィッセン(Anna-Sophie Hartvigsen)、デンマーク
企業名:フィーメイル・インベスト(FEMALE INVEST)
会員制サービスを通して女性に投資などの金融教育を提供し、金融業界での女性の雇用を促進。
・サハラ以南のアフリカ:テミー・ギワ・トゥボスン(Temie Giwa-Tubosun)、ナイジェリア
企業名:ライフ バンク(LIFE BANK)
バイクやボートといった独自のネットワークを駆使して、血液や酸素などのWHO準拠の医療必需品を病院に配送する医療流通会社。
・中東および北アフリカ:ナディア・ガマル・エル・ディン(Nadia Gamal El Din)、エジプト
企業名:ラヘット バリー(RAHET BALLY)
独自のカードで、医療専門家や病院へのアクセスや割引きを提供。「クラブ バイ ラヘット バリー」は、精神科のカウンセリングサービス、ジム、ベビーシッターなど、母親が必要とする全てのサービスを提供する施設。