ジョルジオ アルマーニ(GIORGIO ARMANI以下、アルマーニ)の2019年12月期決算は、売上高が前期比2.3%増の21億6000万ユーロ(約2700億円)、EBITDA(利払い前・税引き前・減価償却前利益)は同14.7%減の2億6800万ユーロ(約335億円)、純利益は同18.4%減の1億2400万ユーロ(約155億円)だった。
増収は主に既存店ベースの売り上げが同7%増だったことと、ECが好調だったことによる。同社はコアブランドを強化するため、18年春夏コレクションから「ジョルジオ アルマーニ」「エンポリオ アルマーニ(EMPORIO ARMANI)」「A|X アルマーニ エクスチェンジ(A|X ARMANI EXCHANGE)」の3ブランド体制に移行しているが、こうした戦略が奏功した形だ。なおライセンスを含めた全体の売上高は、同9%増の41億5000万ユーロ(約5187億円)だった。
現金および現金同等物は12億1000万ユーロ(約1512億円)と18年度の13億1000万ユーロ(約1637億円)からやや減少したが、これは新規出店や既存店の改装に伴う費用などによるものだという。なお19年12月末時点での直営店数は598となり、前年度から70店増加している。
同社は、「新型コロナウイルスの世界的な感染拡大による経済的な影響を予測するのは時期尚早だが、当社にはブランドとしての長い歴史や豊富なリソース、盤石な財務基盤がある。それらを生かし、今後も質の高い製品や揺るぎのないブランドアイデンティティーに基づいた戦略的な計画を、強い意志を持って実行していく」とコメントした。
パンデミックの影響で同社の傘下ブランドも世界中の店舗を一時的に休業せざるを得なかったが、現在は大半の店舗に加えて、ミラノにあるアルマーニ・ホテル(Armani Hotel)も営業を再開している。同社はニューヨーク・マディソンアベニュー旗艦店を改装して高級マンションを併設する計画を19年夏に発表しており、店舗を現在の4層構造から2層構造とし、同じ建物内に19戸の住宅を造る。コロナ禍の中ではあるが、計画通り23年に完成予定だという。
2月23日に開催された「ジョルジオ アルマーニ」のショーは、来場客と関係者の健康や安全面を第一に考えて無観客で行われた。現在も事態が収束していないことから、9月24日に開催される「エンポリオ アルマーニ」のショーはデジタル形式で発表する。また9月26日の「ジョルジオ アルマーニ」のショーは無観客で行い、その模様を初めてテレビで放送するほか、同ブランドの公式サイトなどでも配信する。いずれのブランドも、メンズとウィメンズのコレクションを同時に発表するという。また「ジョルジオ アルマーニ プリヴェ(GIORGIO ARMANI PRIVE)」のショーは、21年1月に延期されている。