動画投稿アプリのティックトック(TikTok)はファッション月間を設け、バーチャルランウエイやインフルエンサーによるレッスンなどを10月8日まで行う。新型コロナウイルスの影響で多くの大規模なリアルのショーが中止になる中、1カ月にわたってファッションに関する多様なコンテンツを特集する狙いだ。またティックトックはユーザー参加に向けて、“#TikTokFashionMonth”や”#GetTheLook””#Fashion101”などのハッシュタグも複数用意した。
すでに「サンローラン(SAINT LAURENT)」や「ルイ・ヴィトン(LOUIS VUITTON)」がそれぞれの公式アカウントでランウエイショーを披露しており、「ジェイ ダブリュー アンダーソン(JW ANDERSON)」は最新コレクションを28日に公開する予定だ。そのほか人気クリエイターのウィズダム・ケイ(Wisdom Kaye)やアリアム(Ariam)がスタイリングに関するイベントなどを開催する。
ジョナサン・アンダーソン(Jonathan Anderson)「ジェイ ダブリュー アンダーソン」デザイナーは「私たちは新しいテクノロジーやプラットフォームを取り入れることをずっと重要視してきた。ティックトックは当たり前だと思われていることを覆すことに挑戦しており、私たちの行動に革新をもたらしている。今シーズン、ティックトックと連携して2021年春夏ウィメンズ・コレクションを発表できることを非常にうれしく思う」と述べた。
さらに同月間の最終日である8日には、「ランウエイ オデッセイ(Runway Odyssay)」と題したバーチャルランウエイをライブ配信する。ティックトックで人気を集めるニック・タンゴラ(Nick Tangorra)がホストを務め、「プーマ(PUMA)」と「アリス アンド オリビア(ALICE + OLIVIA)」が参加する。このイベントではティックトッククリエイターもランウエイデビューをする予定で、ユーザーはいち早くカプセルコレクションを購入できる。ライブ配信に向けて「プーマ」は黒人のクリエイターやデザイナーと連携してコレクションを制作し、「アリス アンド オリビア」はティックトックとタッグを組む。そしてその収益の一部は米国での過剰な処罰や大量投獄の撲滅、人種差別や経済格差の根絶、最も弱い立場にある人々の基本的人権保障に取り組む団体、イコール・ジャスティス・イニシアチブ(Equal Justice Initiative)への寄付に当てられるという。
Z世代を中心に人気を持つティックトックは今やファッション通にリーチするための大きなプラットフォームに成長した。アメリカでは月におよそ1億、毎日5000万のアクティブユーザーを記録しており、18年から9倍に増加。しかしドナルド・トランプ(Donald Trump)米大統領は8月6日に出した大統領令の中で、中国企業が運営するティックトックとウィーチャット(微信、WeChat)の米国内での取引の禁止を発表した(45日間の猶予付き)。米小売最大手のウォルマート(WALMART)と米マイクロソフト(MICROSOFT)がティックトックの米国事業買収に乗り出したというが、詳細は明らかでない。