WWD:直近ではユナイテッドアローズの「ジュース」など、ファッション企業の化粧品業界への参入が相次いでいるが、「ジーユー」はどういった意図で参入を決めたのか?
土上洋佑グローバル商品本部VCP部門グッズチームリーダー兼インナーチームリーダー(以下、土上):「ジーユー」はファッションだけでなく、雑貨を含めたトータルファッションを提案していく中でコスメの展開を考えていました。具体的に計画を開始したのは1年ほど前からですが、それ以前から構想はありました。
WWD:1年ほど前から開始したということだが、コロナ禍の影響はあった?
土上:大きく影響はなかったのですが、コロナ禍によるマスクの着用でニーズの変化があり、方向修正のアジャストを行いました。もともと開発を進めていく中で品質にこだわっていましたが、より保湿に優れた成分を配合したり、目元のメイクのニーズの増加に合わせてアイメイクを強化しました。
WWD:2015年にもコスメを販売していたが、今回との違いは?
土上:2015年にも一部店舗でアイテム数を絞ってメイクグッズを販売していました。当時はアイテムによって売り上げの差も大きく、ブランドというよりはあくまで単品での販売だったため、なかなか全体を底上げするようなビジネスにならなかった。今回は「フォーミーバイジーユー」としてきちんとブランディングを行い、安定的に売り上げを伸ばしていけるものを目指している。そこが前回との大きな違いです。
WWD:「フォーミーバイジーユー」の強みは?日本製や成分にもこだわっているが。
土上:ファッションブランドだからこそできる、旬のファッションに合うメイクの提案とプチプラでありながら安心できる日本製の高い品質が「フォーミーバイジーユー」の強みだと考えています。また、洋服の考え方と同じで、たくさんの種類で迷わせるより、これさえあれば間違いないというカラーやアイテムを厳選し、メイクが得意ではない方にも使いやすく、失敗しないコスメを目指しました。尖っていて使いにくいトレンドではなく、万人が取り入れやすいトレンド。それが目指すところです。
WWD:製品開発をする過程で消費者へのヒアリングなどは行ったのか?
土上:トレンドの掴み方やカラー選びに関しては、商品サンプルの検討会には必ず店舗のスタッフにも参加してもらい、地方の店舗などにも試作品を送って意見を集めました。お客さまを招いての検討会なども複数回行い、リアルな声を商品開発に反映させました。お客さまの意見を聞く中で、「膨大にあるコスメの中でどれがいいのか分からない」「結局いつも同じ色になってしまう」という声がかなり多かった。そうした「多すぎて選べない」という悩みから「どれを選んでも失敗しない」というコンセプトにたどり着きました。
また、プチプラコスメに関しては「パッケージが子どもっぽすぎると持ち歩きづらい」「実際に使うとき派手なものには抵抗がある」といった意見もあり、持つ人を選ばないシンプルなパッケージデザインにこだわり、プチプラコスメのカテゴリの中で差別化を図りました。
WWD:今後の展望は?
土上:まずは大型店など一部店舗とECでの販売ですが、今後の反応を見て取り扱い店の拡大も視野に入れていきたいと考えています。