田中文江が手掛ける「フミエ タナカ(FUMIE TANAKA)」は、2021年春夏のイメージ動画を公開した。パフューム(Perfume)をはじめとするアーティストの演出振付家として知られるMIKIKO(ミキコ)がダンスを手掛け、音楽家の黒瀧節也がオリジナルの楽曲を制作した。
“雰囲気のいい、何度も見たくなるような表現”を模索
今回振り付けを担当したMIKIKOは「フミエ タナカ」の前身である「ザ・ダラス(THE DALLAS)」から田中のデザインした服を愛用しており、2人はインスタグラム上でつながった。それから「MIKIKO先生と一緒に仕事をしたい」という田中の思いと、音楽を担当した黒瀧が個別にMIKIKOに連絡を取っていたという偶然が重なり、今回の協業が決まった。公開した1分間の映像では、6人のモデルたちがそれぞれ民族をイメージした異なる舞いを披露している。
田中は「今だからこそ、デジタルの必要性を感じている。服を作って見てもらう、着てもらうということだけではなく、ワクワクできて、雰囲気のいい、何度も見たくなるような表現をブランドから発信したかった」と語る。「フミエ タナカ」は19年度「東京ファッションアワード」を受賞し、3月に東京でファッションショーを行う予定だったが、新型コロナウイルスの影響で開催を見送った。そのときから田中は「ファッションショー以外の表現で、見る人が笑顔になるような発表を行いたい」と発表方法について模索してきた。
“外に出るのが楽しみになる服”
今季のコレクションは“源泉”を意味する「ザ ソース(The Source)」がテーマになった。アフリカや日本の民族から着想を得たオリジナルのバティックを使い、田中自身がコロナ禍の自粛明けに“外に出るときのことが楽しみになる服”をデザインした。「コロナ禍のモヤモヤを発散できるようなカラフルで大胆なデザインを思い描いた。ブランドイメージを濃厚に反映した“フミエ族”のような(笑)。着る人も、見る人も、楽しいと感じてもらえるような服を目指した」と説明する。今回披露したのはイメージルックで、このエッセンスを取り入れたコレクションを後日発表予定だ。
ヘア&メイクは資生堂のトップヘアメイクアップアーティスト進藤郁子が担当。ヘアは日本髪からアフリカ民族のヘアスタイルをミックスし、“フミエ族”を表現した。江戸時代の“まげ”や大和時代の“みずら”のような非現実的なボリュームとシルエットを作り出しているほか、ダンスの動きを考慮してヘアは編み込んだ。メイクアップは筆で大胆にペイントした白やシルバーのアイシャドーがポイント。肌には洋服の柄をプリントしたタトゥーシールを施して民族のイメージを強めた。