デンマーク発インテリア「フリッツ・ハンセン(FRITZ HANSEN)」のイベントで、相澤真諭子アジア地区ブランドマネジャーと話をした際に、サステナビリティに関する話題になった。デンマークと言えばサステナビリティ先進国で知られている。相澤さんによると、東京のオフィスでもペットボトルのゴミが出ることはほぼないという。さすが、デンマーク企業だけあってサステナビリティに関する意識が高いと思い、彼女にオフィスおよび自宅におけるサステナビリティに関する取り組みや考え方について聞いた。
WWD:「フリッツ・ハンセン」のオフィスでどのようなサステナビリティの取り組みを行なっていますか?
相澤真諭子「フリッツ・ハンセン」アジア地区ブランドマネジャー(以下、相澤):オフィスでは、カプセルゴミが出ない豆から挽いて抽出するタイプのコーヒーマシーンを置いています。コーヒーはコーヒーマシーンから、水はウォーターサーバーから、オフィスのマグカップやグラスなどで飲むため、ペットボトルのゴミが出ることはほとんどありません。
WWD:オフィス内の業務関係における取り組みは?
相澤:ペーパーレス化しているので資料はPCの中に保存、プレゼンテーションではタブレットを利用するので古紙などの紙ゴミもほとんど出ることはありません。ペーパーレス化とリモートワークで、近々FAX番号も解約予定です。
WWD:オフィスで重宝しているサステナビリティのアイテムは?
相澤:エコバッグはすぐに使わなくなってしまうものが多いですが、「フリッツ・ハンセン」のエコバッグはサイズの大きさや丈夫な厚い生地、持ち手の長さや内ポケット付きなど使い勝手の良さにこだわって作りました。営業用や近所へのショッピングバッグとしてだけでなく、通勤バッグとしても使用しているスタッフもいます。
WWD:相澤さんがご自宅で取り組まれているサステナビリティは?
相澤:第一に、すぐに飽きてしまうようなものや壊れてしまうものではなく、良質で気に入ったものを選んで長く使うことを心がけています。またサステナビリティの観点からだけでなく、日々ゴミを大量に出すこと自体が億劫なので、家での晩酌はビール派からすっかりウイスキーとナチュラルワイン派になりました。ワインボトルは瓶なのでもちろん、リサイクル可能ゴミとして出しますが、大容量のウイスキーは、ロックやハイボール、ホットなど、いろいろと楽しむことができます。家で作る炭酸水マシンで使うガスシリンダーは、使用後は新しいものと交換時に回収されてリサイクルされます。子どもたちも家で作る炭酸水と果実酢などを混ぜてジュース替わりに飲んでいるので、ドリンク系のプラスチックゴミになるのは約1カ月にウィスキーボトル1本だけで、ドリンクを缶やペットボトルで購入していた頃に比べると生活ゴミが劇的に減りました。
WWD:相澤さんご自身が考えられるサステナビリティとは?もっと、こうなればいいと思うことや、デンマーク企業に勤務して感化されたことなど?
相澤:自分でできるサステナビリティは、いいものを長く使うことだと思っています。その場しのぎで購入したものは、使用期間が短く断捨離の対象になりやすいのでゴミになりがちです。一方で、こだわって購入したものは長期間使えるし、子どもや家族に譲ったりできます。我が家には私が10年以上前に購入した“エッグチェア”があり、私の癒しのスペースになっているのですが、私が使わなくなる日が来たら、きっと子どもたちは喜んで譲り受けてくれると思います。フリッツ・ハンセンに入社して15年目なので、入社してから少しずつお気に入りの家具を選んでコレクションしています。すべての家具はクオリティーもデザインも一生モノですし、将来は子どもたちが使い続けるだろうと思います。デンマークの同世代の友人たちの家では、ご両親や親戚から譲り受けた家具が使われていることが多く、品質とデザイン性が高いものを長く使うことが当たり前だなと感じます。それは、サステナブルでもあり素敵な文化の一つでもあると思います。
WWD:ご自宅からオフィスまで自転車通勤されているということですが?
相澤:私の主な移動手段が自転車であることもデンマークの影響が大きいのかも知れません。デンマーク・コペンハーゲンは“世界一の自転車都市”と呼ばれています。少し前までは、いわゆる“ママチャリ”を使用していましたが、今では子供たちが成長してそれぞれの自転車で移動できるようになったので、“ママチャリ”を卒業しました。そして、今ではデンマーク初「ヴェロルビス(VELORBIS)」の自転車を愛用しています。日本では珍しいメーカーで、細部までこだわりが感じられるデザインの自転車です。この自転車がきっかけになり話しかけられて、会話が弾むようなこともあります。私は10年以上、通勤も日常生活の移動もほとんど自転車です。都内の自転車移動は便利ですし、車や電車よりも目的地に早く着けることもあります。コロナウイルスの心配もないし、自力で移動できる手段で、季節や街の移り変わりも感じることができます。