伊勢丹の「売る力」の源泉は何か
百貨店・冬の時代と言われる中、伊勢丹新宿本店の快進撃が止まらない。2021年に三越伊勢丹ホールディングスの社長に就任した細谷敏幸氏の掲げる「マスから個へ」の戦略転換が軌道に乗り、22年度の売上高はバブル期を上回る過去最高の3276億円を記録した。富裕層に代表される外商顧客の旺盛な消費、復活してきたインバウンドといった外的要因は競合他社と一緒だが、伊勢丹新宿本店の好調はそれだけでは説明できない。同店の伝統的な強みである顧客分析が、OMO(オフラインとオンラインの融合)の時代に合わせて高度化したことが大きいのだ。細谷改革のキモは顧客を徹底的に知ること。現場で何が起こっているのか、多角的に迫ってみた。(この特集は「WWDJAPAN」2023年10月2日号からの抜粋です)