英国のシューズブランド「マノロ ブラニク(MANOLO BLAHNIK)」は12月11日、英国の企業登記局に2019年の年次財務諸表を提出した。同資料によるとマノロ ブラニク社の19年12月期決算は、売上高が前期比17%増の4500万ユーロ(約56億円)、EBITDA(利払い前・税引き前・減価償却前利益)が同34%減の675万ユーロ(約8億5000万円)だった。
小売り、卸、ECの販売チャネルの改善が売り上げ増につながったという。19年にパリに出店した初の路面店や、ブルーベル グループ(BLUEBELL GROUP)の下でオープンした台湾と日本の路面店が小売りをけん引。ジュネーブの店舗やロンドンのメンズ専門店も売り上げ増に貢献したという。
18年末に立ち上げた自社ECに継続して投資を行い改善を図った結果、同チャネルの売上高は同110%増を記録した。継続的な成長を確保するために20年もさらなる投資を行うとしている。
EBITDAの減少について同社は、事業の戦略的再構築5カ年計画の遂行や、長年のサプライヤーだったイタリアのシューズ工場であるカルツァトゥリフィチオ・レ・マルチェッロ(CALZATURIFICIO RE MARCELLO)の買収、20年1月から開始した北米ビジネスの直営化に向けた取引準備のための「多額の投資」によるものと説明する。また、投資は「才能を育成し、将来の世代のために靴づくりの技術を育成するというグループのビジョンを強化するためのもの。そのために高度な技術を持つ77人の職人を迎えた」という。
同社は、従業員への支援を「事業における重要な優先事項」としている。これに伴い19年は同社従業員と地域社会の福利厚生およびメンタルヘルスに「多額の」投資を行い、メンタルヘルス財団(Mental Health Foundation)の研究プロジェクトにも貢献。この取り組みは20年も継続する。20年の1~9月期は新型コロナウイルス感染拡大以前の予想を下回る結果だったが、全従業員の雇用を維持し、給与も全額支払ったという。
マノロ・ブラニクの姪で最高経営責任者(CEO)のクリスティーナ・ブラニク(Kristina Blahnik)は、19年の業績について「期待通り」と評価。新型コロナウイルス感染拡大については、「予想の見直しを余儀なくされた」と説明する。同社によると20年は厳しい状況だが、ECの売り上げは3ケタで伸長しており、21年春のコレクションの需要は堅調に推移しているという。
21年についてブラニクCEOは、「当社の強固なキャッシュとバランスシートのおかげで将来に対して楽観的だ。同時にこの先に起き得ることに警戒もしている。成長を続けるECと予想を上回る21年春の持続的な需要により、21年の見通しをポジティブにとらえている」と説明する。21年にはニューヨークのマンハッタンに旗艦店を出店するという。