アパレルのOEM(相手先ブランドの生産)、ODM(相手先ブランドの企画生産)を担う繊維商社のビジネスモデルが、コロナ禍で大きな変化を遂げている。世界でサステナビリティへの取り組みがスタンダードとなり、大量生産・大量廃棄の悪弊を断ち切る服作りのパラダイムシフトを最優先の課題として突きつけた。適切な量の高品質な商品を必要なときに供給するために、DX(デジタルトランスフォーメーション)によるサプライチェーン革命が加速している。(この記事はWWDジャパン2021年3月1日号からの抜粋です)
■情報が一方通行の従来型サプライチェーン
アパレルの消費不振、デザインの同質化、低価格化、サステナビリティの推進などファッション業界の課題が山積する中で、繊維商社がOEM、ODMの精度を高めるための手段としてここ数年進めてきたDXが、新型コロナウイルス感染拡大の影響もあり一気に加速した。
中でも服作りのプロセスを大きく変えそうなのが、企画業務の効率化に貢献する3DCG(三次元コンピューターグラフィックス)だ。次シーズンに向けた商品制作に取り掛かる際、従来はデザイン会議を開いてシーズンテーマを決定し、素材をセレクト、パターンメイキング、トワルチェックを経て、職出し(サンプル加工発注作業)、上がってきたサンプルの確認と修正を複数回繰り返して数週間を要していた作業が、CGによる3Dモデリングを活用することで、最終デザインの合意を画面のデジタル上で迅速に進めることができるほか、素材費や工賃などサンプル制作に必要な経費を節減できる。この3DCGデータは展示会やカタログ制作にも応用できることで、一連の商品開発から販売に掛かる手間、時間、経費の削減につながるものとして技術開発がさらに進んでいる。
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