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「休業継続の可否はテナントの声も聞いて決めて」 商業施設に“アクティビスト”経営者が要望

 東京都内の百貨店や大型商業施設で、5月12日以降の営業再開・拡大に向けた動きが広がっている。東京都は現時点で12日以降も休業要請を継続しているが、「再開を決めた一部ファッションビルや百貨店は、われわれテナントや取引先と向き合って、丁寧に意見を聞いてくれた」と、シューズブランド「ユナイテッド ヌード(UNITED NUDE)」日本法人の青田行社長は話す。青田社長は昨年の1度目の緊急事態宣言時から、ファッション小売業支援の署名運動を立ち上げたり、政治家に陳情を行ったりといった活動を継続。一匹狼が多い日本のファッションの中小企業リーダーには珍しい、“アクティビスト”タイプの経営者だ。青田社長に、テナント企業が今何を思っているのかを聞いた。

WWD:都内の商業施設で、 12日以降の営業再開・拡大の動きが広がっている。施設側とテナントとの間にはどのようなやり取りがあったのか。

青田行「ユナイテッド ヌード」日本法人社長(以下、青田):テナントや取引先に、営業を再開するか否かについて非常に丁寧にヒアリングをしてくれたデベロッパーや百貨店もあった。ルミネやパルコ、高島屋、伊勢丹新宿本店などがそうだ。他方、ヒアリングなどはなく、休業継続を文書一枚で一方的に通知してきた施設もあった。5月の大型連休商戦に対して、われわれは施設側から売り上げ目標を持たされていたにも関わらずだ。ファッションブランドであれば、どこも当社と同じように連休に向けて商品を仕込んでいたと思う。それに対し、メールだけで休業継続を告げてくるというのはやや荒っぽいように感じた。

WWD:政府は12日以降は百貨店などへの休業要請を営業時短要請に切り替えると発表した。一方で、東京都は休業要請を継続。方針の違いに業界が振り回されている。

青田:休業要請はあくまで「要請」であって、休業するかしないかは各施設の判断だ。ファッションが生活必需品となるのかどうかは国も自治体もはっきりと基準を示しておらず、事業者の判断に委ねられている。そういう事情は私もよく理解しているし、営業再開と休業継続のどちらが正しいかなんて現時点では答えはない。ただ、施設として休業を継続するならするで、取引先に対してしっかりと考えを説明してほしい。営業再開するか否かについての施設の判断は、われわれ取引先の全社員の生活に関わってくるものだ。ヒアリングなどがなく、向き合う姿勢を感じない一部の施設に対しては、「われわれ取引先やその先にいるお客さまを見ずに、一体どこを向いて商売をしているのか」と感じる部分もあった。

WWD:「百貨店や大型商業施設を狙い撃ちするように休業要請が出されている」といったような声も業界内外で聞かれる。

青田:事業者であるわれわれが自分の考えを持って、声をあげていくことの重要性を感じている。声をあげれば、国や自治体は無視ができなくなる。「休業に協力してください」という呼びかけに対し、われわれは意思表示をしっかりした方がいい。声をあげないから、業界として舐められてきた部分もあるように思う。世の中を見ていても、(百貨店や商業施設に同情的な声が広がっており)昨年の緊急事態宣言時とは風向きが大きく変わっているのを感じる。今回、テナントや取引先にヒアリングをしてくれる施設が出てきたことも大きな変化だ。今もまだ営業再開するかどうか他社の様子をうかがっている施設もあるが、施設側とテナント側とが互いに向き合っていくことが求められていると思う。

 この先も緊急事態宣言が発令されることはあるだろうし、国と自治体で言っていることが違って、事業者が判断をしなければいけないケースは出てくると思う。(コロナ禍以降、施設からのテナント撤退などのニュースも多いが)取引先とコミュニケーションをしっかり取って判断していく姿勢があるかどうかは、テナント側が今後施設とどう付き合っていくかという部分にも影響してくると思う。

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