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ワクチンの普及が美容業界に春を呼び込む鍵に

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 ビューティ・インサイトは、「WWDJAPAN.com」のニュースを起点に識者が業界の展望を語る。
今週は、ワクチン普及がもたらす美容業界の影響とESGのEが注目されている話。

■賢者が選んだ注目ニュース
田谷が美容室「TAYA」など33店舗を閉鎖、銀座コア店や青山店も
サステナビリティ・ディレクターに就任 潮目は変わった。動き出そう

 美容室チェーン「タヤ」など117店舗の美容室を運営する田谷が店舗の3割弱を閉店し、ECサイトを含む“ネット関連事業”の本格稼働、新人事制度の導入や組織再編などに取り組む構造改革プラン「T9」を発表した。田谷のようにサービス業や飲食業全体の経営環境は厳しく、これら業界は倒産件数だけでなく自主廃業が増加。2020年の自主廃業は過去最高の水準で推移している。また、新型コロナウイルスの影響で実店舗を閉鎖するだけではなく、ECなどデジタル事業を練り直すという動きも時代の流れといえる。

 では、こうした実店舗閉鎖や自主廃業、倒産といった流れはいつ終わるのか?その鍵を握るのはコロナワクチンの普及だ。いま、日本の経済社会全体の動きであるマクロ経済がどうなっているかというと、国民の半分にワクチン接種が行き渡っているアメリカやイギリスに比べ、回復が遅れている状態。18日に1月から3月までのGDP(国内総生産)が発表されたが、年率換算で5.1%減と3期ぶりにマイナスとなった。対してアメリカは6.4%増に回復しており、コロナが世界的に流行する前の水準に近い。同国ではサービス業や飲食業の急回復も見られている。ワクチンの普及によって、日本の美容業界も回復する可能性があるということである。

 仮にワクチンが広まっても、「景気は低迷したままじゃないか?」と考える人も多いだろう。実は、コロナが始まった20年から1年間で強制貯蓄がたまっているのだ。所得から消費分を引いた、自分の意思で進んで行う“自発的貯蓄”に対し、物価が上昇するときに私たちの所得の上昇が追いつかず、結果やむをえず旅行や外食などの消費を切りつめる“非自発的貯蓄”を強制貯蓄というが、この強制貯蓄がいくらあるのか日本銀行が試算したところ、約20兆円たまっていることがわかった。これは国の補正予算額や世界一の富豪であるアマゾン創業者のジェフ・ベゾスの総資産に値する。いまの我慢をしのいだ先には、この眠っていた強制貯蓄20兆円が一気に社会に巡りだす可能性があり、私たちもその恩恵を受けることができるだろう。

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