毎週発行している「WWDJAPAN」は、ファッション&ビューティの潮流やムーブメントの分析、ニュースの深堀りなどを通じて、業界の面白さ・奥深さを提供しています。巻頭特集では特に注目のキーワードやカテゴリー、市場をテーマに、業界活性化を図るべく熱いメッセージを発信。ここでは、そんな特集を担当記者がざっくばらんに振り返ります。(この記事は「WWDJAPAN」2021年8月30日号からの抜粋です)
中出:今回はEC支援をテーマに、自社ECやECモールを活用する中で多くの企業が直面している成長課題を解決したいと考えました。そこでまずECコンサル企業いつも.の望月智之副社長に押さえておくべきポイントを聞きました。
横山:ファッションもビューティも手掛けているので、双方の話が聞けてよかったよね。僕は「インスタで勝てないファッションブランドは、何をやっても勝てない」と言い切っていたのが衝撃だった。「インスタはファッションを売るのに最適化されたプラットフォームだから、そこで勝てないブランドは難しい」と。なるほど、と思った。
中出:私はビューティブランドだからこそ、自社ECでロイヤルユーザー向けのサービスを充実させよというのが響きました。ビューティの場合、消費者は便利なところかポイントが獲得できるECモールで買う人が多いので、オフラインの店舗と同じレベルの体験をそろえることが大事だと。例えば、たくさん買うことで得になるようなプログラムを自社ECに設けることで、モールはファーストユーザー向け、自社ECはロイヤル顧客向けと役割分担ができて売り上げもアップするというのに納得しました。
横山:商品名で検索して買ったり、リピート買いのあったりのビューティならではだよね。僕はアパレルEC支援企業大手のBBFについての取材で、デザイナーの丸山敬太さんに聞いた話が面白かった。「ECサイトに『売り切れ』という表示を出すのはおかしいよね。だってリアル店舗には在庫があるのかもしれないんだから、『お問い合わせください』って問い合わせ先を出すべきじゃないか」とか、「お店ならVMDとかディスプレーにこだわるのに、サイト上の商品が更新した順なのは納得がいかない」とか、当たり前に思っていたけど、言われてみたら納得の話が多かった。システムの都合ではなく、技術が日々進歩していてできることも増えている。今だからこそ、お客さまにとって、ブランドにとって何がベストかを改めて考えられると思った。
中出:そうですね。課題は以前とあまり変わりませんが、解決のための知見と技術はアップデートされています。うまくとらえていきたいです!