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大丸松坂屋、富裕層シフト鮮明 名古屋店は外商シェア5割へ

 J.フロント リテイリング(JFR)は、百貨店事業の富裕層シフトを鮮明にする。大丸松坂屋百貨店の基幹9店舗において、顧客別売上高で外商のシェアを2020年2月期の23.7%から24年2月期には30.0%に増やす。コロナで消費が低迷する中でも、消費意欲が旺盛な富裕層に狙いを定める。

 12日にオンライン開催された21年3〜8月期決算説明会で、24年2月期を最終年度にした「中期経営計画の進捗」として発表した。顧客別売上高ではコロナ前の20年2月期に比べて富裕層を対象にした外商の割合を6.3ポイント高める。呼応するように、カテゴリー別売上高でもラグジュアリーブランドを23.5%(20年2月期は17.3%)、美術・宝飾・呉服を13.0%(同9.2%)に引き上げる。一方、ボリュームゾーンの婦人服・婦人雑貨は14.9%(同18.6%)、紳士服・子供服は8.2%(同9.2%)に縮小する。JFRの好本達也社長は市場環境の変化を述べた上で、「成長戦略として間違いない」と説明した。

 コロナでも株高を背景にした富裕層の消費は手堅い。旅行や外食の自粛のお金が、百貨店のラグジュアリーブランドや宝飾・時計などの高級品に回っている。21年3〜8月期の店舗別売上高を一昨年の同期間を比べると、鉄道旅客輸送への依存が高い大丸東京店が49.6%減、大丸梅田店が44.1%減なのに対し、外商など固定客に強みを持つ大丸神戸店が17.3%減、松坂屋名古屋店が16.1%減まで持ち直した。コロナが収束に向かっても、富裕層市場の安定した伸びは続くと見る。

 大丸松坂屋百貨店の一番店である松坂屋名古屋店は、中計期間内に改装計画に乗り出す。品ぞろえ、サービス、空間演出においても外商での提案力を高める。売上高に占める外商のシェアを現在の4割から5割に高める。

 外商のオンラインサイト「コネスリーニュ」では、若い富裕層を狙った品ぞろえやイベントを強化する。24年2月期にはオンライン経由の売上高100億円を目標に定める。

 今月発足した岸田内閣は経済政策において「成長と分配」を掲げて、かつての豊かな中間層の復活を打ち出した。ただ、政策は不確定な要素が多く、実現も未知数だ。百貨店は、元々の強みである外商ビジネスに磨きをかけ、アベノミクス以降増え続けている富裕層を取り込むことで収益の安定を図る方向で足並みをそろえる。

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