ファッション
連載 “めんどくさい“新米2人によるポッドキャスト:考えたい言葉

「Y2K」ってどんなトレンド? “めんどくさい”新米2人によるポッドキャスト連載:考えたい言葉 vol.8

 「WWDJAPAN」ポッドキャストシリーズの新連載「考えたい言葉」は、2週間に1回、同期の若手2人がファッション&ビューティ業界で当たり前に使われている言葉について対話します。担当する2人は普段から“当たり前”について疑問を持ち、深く考え、先輩たちからはきっと「めんどうくさい」と思われているだろうな……とビビりつつも、それでも「メディアでは、より良い社会のための言葉を使っていきたい」と思考を続けます。第8弾は、【Y2K】をテーマに語り合いました。「WWDJAPAN.com」では、2人が対話して見出した言葉の意味を、あくまで1つの考えとして紹介します。

ポッドキャスト配信者

佐立武士(さだち・たけし):He/Him。入社2年目、ソーシャルエディター。幼少期をアメリカ・コネチカット州で過ごし、その後は日本とアメリカの高校に通う。早稲田大学国際教養学部を卒業し、新卒でINFASパブリケーションズに入社。在学中はジェンダーとポストコロニアリズムに焦点を置き、ロンドン大学・東洋アフリカ研究学院に留学。学業の傍ら、当事者としてLGBTQ+ウエブメディアでライターをしていた。現在は「WWDJAPAN」のソーシャルメディアとユース向けのコンテンツに注力する。ニックネームはディラン

ソーンマヤ:She/Her。入社2年目の翻訳担当。日本の高校を卒業後、オランダのライデン大学に進学して考古学を主専攻に、アムステルダム大学でジェンダー学を副専攻する。今ある社会のあり方を探求すべく勉強を開始したものの、「そもそもこれまで習ってきた歴史観は、どの視点から語られているものなのだろう?」と疑問を持ち、ジェンダー考古学をテーマに研究を進めた。「WWDJAPAN」では翻訳をメインに、メディアの力を通して物事を見る視点を増やせるような記事づくりに励む

若手2人が考える【Y2K】

 「Y2K」は“2000年”の数略語で、“Y”は年(year)、“K”はキロ(Kilo、1000の単位)の意味。一般的にはコンピューターが誤作動すると騒がれた2000年問題を指していたが、ゼロゼロ年代(2000~09年)のファッションやビューティトレンドのリバイバル文化を表す言葉にもなりつつある。ひとえに“ゼロゼロ年代”と言うとその時代の多様なスタイルを含むが、「Y2K」はより特定のアメリカを中心とするポップカルチャー発のトレンドを指している。ファッションスタイルとしては、ベイビーピンクなどの甘い色やミニスカート、クロップド丈の小さなトップス、アクセサリーの多数付け、ローライズのジーンズ、小さなサングラスなどが特徴だ。またビューティは、コントラスト強めのハイライト入りヘアや寒色系のメタリックなアイシャドウ、クリアなリップグロスなど。

 2021年現在流行している「Y2K」ファッションとビューティの元になっているのは、ソーシャルメディアが普及していない当時、メディアを賑わせたセレブたち。中でも、ブリトニー・スピアーズ(Britney Spears)やパリス・ヒルトン(Paris Hilton)、クリスティーナ・アギレラ(Christina Aguilera)、ヒラリー・ダフ(Hilary Duff)、ビヨンセ(Beyonce)含めたデスティニーズ・チャイルド(Destiny's Child)は、この時代を代表するアイコンとして語られる。映画「ミーン・ガールズ(Mean Girls)」などゼロゼロ年代のポップカルチャーも今もインターネット上で引用されることが多く、今日の「Y2K」のイメージに大きなインパクトを残している。

 Z世代の新生ポップスター、オリヴィア・ロドリゴ(Olivia Rodrigo)のスタイルは、まさに「Y2K 」だとメディアも注目する。「ミュウミュウ(MIU MIU)」などラグジュアリーブランドの2022年春夏コレクションにもリバイバルの影響が強く見られた。ほかにもBLACKPINK(ブラックピンク)やaespa(エスパ)らK-popアーティストが「Y2K」スタイルを取り入れたことも再燃の理由の一つとされ、Stray Kids(ストレイキッズ)のヘアピンを使ったスタイルをはじめとして、男性アーティストもトレンドを楽しんでいる。

 このような“ジェンダーレス”なアプローチに加え、再燃した「Y2K」スタイルが当時と大きく違う点は、多様な体型の人がエンジョイしていることだ。「Y2K」自体が、スリムなセレブたちがけん引した露出多めのトレンドのため、“洋服のために痩せなくてはいけない”という風潮を加速させてしまうのではと危惧する声も上がっている。しかし、ティックトック(TikTok)などを中心に広まった「Y2K」リバイバルはZ世代のボディー・ポジティブな考え方と融合し、多様な楽しみ方が提案されている。

【ポッドキャスト】

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