自身の名を冠したブランドを持つ創業者兼デザイナーのブルネロ・クチネリ(Brunello Cucinelli)は31日、ローマの主要20カ国・地域首脳会議(G20サミット)に出席した。同会議では、世界の環境・気候問題、新型コロナウイルスのパンデミック、世界の回復支援措置をテーマに各国家政府が語り合った。
クチネリは、G20サミット議長国であるイタリアのマリオ・ドラギ(Mario Draghi)首相に招待され、参加。「環境保護・気候変動との戦いにおける公共と民間の協働」をテーマにしたイベントの冒頭を飾るスピーカーとして、“人間らしいサステナビリティと人道的な資本主義”について語った。ほかにも、ウェールズ公チャールズ皇太子(His Royal Highness The Prince of Wales)が当日はスピーチした。
クチネリはスピーチで「サステナビリティやこれからの資本主義の形について、情熱を込めて仕事や人生で取り組んできたし、今も関心を持っているテーマ。調和の取れた世界を取り戻すことがなぜ大事であるかを世界各国の首脳に呼びかけることができて光栄だ」と述べた。締めの挨拶では「世の中を構築する力と影響力を持つ各国の首相の皆さま。世界が良いところで、美しく在るべきための責任を担うからこそ、どうか歩むべき正しい道を提示してほしい。クリエイティビティーが私たちを守り、新しい普遍的なヒューマニズムに導きますように」と訴えた。
同氏はほかにも、ブランドのゆかりの地であるイタリアのソロメオに哲学や建築、文学・詩、クラフトマンシップの5つを主に扱う図書館の開設を計画中。教養とともに文化を育む場所作りに乗り出した。20年には、新レーベル“ブルネロ クチネリ フォー ヒューマニティ(Brunello Cucinelli for Humanity)”を設立した。レーベルでは店頭で売れ残ったアイテムをギフトにする取り組みを提案。そういった商品はセールして売り切るのが一般的だが、クチネリは「人類を支援するプロジェクト」として新たな試みを続ける。