TSIホールディングスは、オンラインの顧客行動データと店舗在庫データを組み合わせたCX(顧客体験)の実証実験を開始した。CXプラットフォーム「カルテ(KARTE)」を運営するプレイド(東京、倉橋健太CEO)と協業し、傘下のナノ・ユニバースの3店舗にシステムを導入。実証実験を重ねたのち、新たな機能を加えつつ、店舗やブランドを広げる。
25日からナノ・ユニバースのラゾーナ川崎プラザ店、ららぽーとTOKYO-BAY店、ららぽーと横浜店の3店舗で「顧客のタッチから始まる店舗体験」の実証実験を始めた。店舗の入り口にある機器に顧客がスマートフォンをかざすと、ナノ・ユニバースのアプリの閲覧履歴やお気に入りへの登録などをもとに、店舗で購入可能な商品のレコメンドを受けられる。
TSIは2015年から「カルテ」を自社ECに導入し、利用者データに基づいてオンラインの中でCXを高めてきた。今回はそれをオフライン(リアル店舗)に拡張し、シームレスに行き来できるようにする。リアル店舗でも個人の好みにカスタマイズされた情報が提供され、販売員とのコミュニケーションを円滑にする。TSIホールディングスの執行役員デジタルビジネス部長の渡辺啓之氏は「店舗と販売員の価値に『オンラインならでは』の強みを付加する」と狙いを話す。
ナノ・ユニバースは売上高に占めるEC化率が約50%と高い水準に達している。ECで見た商品を確認するためにリアル店舗を訪れる顧客が多い。ECと店舗をしっかりつなぐ導線を構築することで、より一体的なCXを提供できるようにする。