毎週発行している「WWDJAPAN」は、ファッション&ビューティの潮流やムーブメントの分析、ニュースの深堀りなどを通じて、業界の面白さ・奥深さを提供しています。巻頭特集では特に注目のキーワードやカテゴリー、市場をテーマに、業界活性化を図るべく熱いメッセージを発信。ここでは、そんな特集を担当記者がざっくばらんに振り返ります。(この記事は「WWDJAPAN」2022年1月17日号からの抜粋です)
井口:リセール特集ということで、NY在住のライターさんにスレッドアップ(THREDUP)体験記を寄稿してもらいました。
林:何か発見がありました?
井口:体験記の中に、著者の高校生のお嬢さんが2年くらい前から「もう新品の服は買わない」と宣言していると書いてあり、すごく印象的でした。若い世代がリセールの急拡大をけん引しているというのはよく読んでいましたが、自分が若いころにはなかった発想なので、リアルな声が衝撃でした。
林:マインドが変わってきていますよね。日本も若い人ほど中古品に抵抗がないようです。
井口:スレッドアップは、みんなのクローゼットに眠っているものを簡単に販売できれば、新品のいらない循環型経済が促進できるのではないかという創業者の考えのもとに始まっています。
林:サステナビリティですね。僕が取材したコメ兵もやっていることは昔と変わっていないのですが、後からサステナビリティという意味付けが加わって、ポジティブに捉えられるようになってきたのが面白かったです。最近は雰囲気のいい買い取り店を高級住宅街にも多く出店しています。
井口:そうですよね。昔は中古品を買うのって、「お金がなくて新品を買えないのかな?」という印象でした。
林:業界的にもかつては企業が多大なマーケティング費用を投じて築いたブランドにタダ乗りしているという見方でしたが、変わりましたね。競合も増え、たんすの中身を巡って、まるで都市鉱山のように資源獲得争いですよ。
井口:利用する側としては、いかに売る作業が簡単かが大事ですよね。
林:一番いいのは、家に来てもらって見てもらうことなんです。でもすごくハードルが高い。その点、百貨店は外商があるし、信頼があるので、強いんですよね。実際に百貨店がリセール企業と組んで買い取りを店舗内で始めていますが、利用者は現金が手に入るので、そのお金をまた百貨店で使うらしいです。
井口:なるほど。外商員だと顧客の家に上がる機会もあるでしょうし、顧客もたんすにいいものを多く持っていそうです。意外と百貨店はリセールと相性がいいのかもしれないですね。