コロナ禍の中、アパレルで最も深刻なダメージを受けたジャンルがオケージョン(結婚式やパーティーなどのハレの場)用途を意識したドレッシーなワンピース、ドレスだ。一時はイベントの消滅と共に蒸発した需要が徐々に戻ってきているとはいえ、足元でもオミクロン株の感染拡大で先行きは決して明るいとはいえない。だがコロナ禍が長期化する中で、消費者のリアルなニーズと向き合って企画をブラッシュアップし、一定の手ごたえをつかんでいるブランドもある。新時代に“売れる”ドレスの条件を探った。(この記事はWWDJAPAN2月7日号から抜粋、加筆しています)
マッシュスタイルラボのドレス主力のブランド「セルフォード(CELFORD)」はコロナが長期化するにつれ、ブランド本来の強みであるドレスが息を吹き返している。同カテゴリーの2021年の売れ行きは20年と比較して1.6倍、19年の2割減の水準まで持ち直した。
20年は、オケージョン向け品番の発注量を、金額ベースで一時は従来の半分程度まで減らした。だが例年ドレス需要が高まる5〜6月、10〜11月には品薄になった商品もあり、期中発注で需要に対応した。これにより、「やはり(コロナ禍でも)ドレスは必要だと確信した」と一(はじめ)真由子チーフプレス。21-22年秋冬のオケージョン向けワンピースの発注量は19年比で3割減程度まで戻した。21年10月にはドレスにフォーカスしたフェアを店舗とECで開催し、同月のドレスの売り上げは前年同月比1.4倍となった。
ドレスのデザインも、顧客の声を元に軌道修正してきた。レースで彩った華やかなものの割合は抑える一方、食事会やちょっとした外出まで、幅広いシーンをカバーできるベーシックなデザインを増やした。「そういったものに、ハレの場ではアクセサリーで“足し算”をする。賢い着回しをするお客さまが増えた」。ドレスと合わせるブローチも在庫を増やしているが、「入荷と完売を繰り返す人気」という。
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