”プラスティックモンスター”は、サステナブルアートコミックとしてスタートした4コマ漫画だ。「WWDJAPAN」で連載を始めて先日、50回目の小さな節目を迎えた。2つのキャラクターで織りなす4コマは、毎回ファッションをベースとしながら、生活の中で気づくサステナブルな未来型社会や、我々が掲げるサステナブル社会という大きな目標に対する小さな矛盾をテーマにしている。
登場キャラクターは、その名も「プラスチック・モンスター」。太平洋を漂うプラスチックゴミから生まれ、ビニール袋を被り、両耳は波と葉っぱでできている。ゴミから生まれながら社会や環境への愛を持ち、自分が生まれた意味を常に考えながら過ごしている。
一方の「アイツ」は、全身マント姿だ。いたずら好きで、プラスチック・モンスターがやることを邪魔してばかり。周囲を困らせるが、本当はプラモンが大好きだ。そんな「アイツ」の正体とは?!そんなキャラで構成されている。連載一年を迎え、巷では通称「プラモン」と称して愛されるようになった。
プラスチック・モンスターというキャラクターは、私のブランド「パスカル マリエ デマレ(PASCAL MARIE DESMARAIS.以下、PMD)」でのサステナブルなモノ作りや信念を、より多くのジェンダーや年齢層にもっとわかりやすく、さらに歳を取らない方法で伝えられないかを仲間と模索して生まれた。アイデアをまとめながら頭の中で出来上がったイメージを、ファンであり友人の新進気鋭のアーティストDUNKWELLに描いてもらった。数日後に「この子です」と紹介されて、初見で即決。私は今もなんとも愛らしく、哀愁の漂う、語りかけるような可愛らしい表情に吸い込まれている。
現代アートのかけらから生まれているサステナブルアートコミックが取り上げるのは、ファッションアイテムの性質や、季節とファッション、動物とファッションなど。ノージェンダーを掲げたり、傘やエコバッグという日常的なアイテムにもフォーカスしたりする。ストーリーは、アーティスト@hangover_plateと制作している。
記念すべき50回目は、”プラスティックモンスター”でも数回取り上げている“過剰包装”にまつわる4コマだ。届いた小さい荷物にアイツが「ちっちゃいな、つまらん」と中身も見ずに捨ててしまう構成だ。実はこれ、49回目の4コマから密かに繋がっている。コロナ禍でオンラインの買い物を楽しむ機会が増えているが、箱が大きいだけでなんだか「多幸感」が生じることはないだろうか?箱の大小で変わるワクワク感を題材に「本当に大切なこと」「本当に価値のある物」という疑問を投げかける。この”プラスティックモンスター”の成長を堪能しながら、少しでも日常の気づきが増えてくれればと切に願っている。
4コマ漫画を50回送り出して感じたのは、季節は儚いということ。小さいなりにもファッションデザイナーを営んでいるが、四季どころか一年50週の「納品」に季節の流れを感じないわけがない。美しい季節の中で生活できる日本という環境にまた一つ感謝するきっかけとなった。
4コマコミックでオシャレにシニカルにサステナブルを伝えていきたいんだ!そんなプラモンの挑戦はまだまだ続く。