毎週発行している「WWDJAPAN」は、ファッション&ビューティの潮流やムーブメントの分析、ニュースの深堀りなどを通じて、業界の面白さ・奥深さを提供しています。巻頭特集では特に注目のキーワードやカテゴリー、市場をテーマに、業界活性化を図るべく熱いメッセージを発信。ここでは、そんな特集を担当記者がざっくばらんに振り返ります。(この記事は「WWDJAPAN」2022年3月7日号からの抜粋です)
本橋:今回は「新しい自分」に出会える接客を実録すべく、僕は伊勢丹新宿本店に20代後半の小売業で働く女性と行ってきました。「自信に満ちあふれた中に適度なユニークさが垣間見られる女性」という難しいリクエストのもと、「リ・スタイル」の顧客向けサービスを受けてもらいました。そろえてもらっていた服に着替えてもらったらモード感のあるオシャレな女性になって、「おぉ〜、いいな」と素直に感動しました。新関さんはどちらへ?
新関:私は30代半ばの会社員の女性と銀座のメゾン コーセーに行きました。まずは、50パターンのバーチャルメイクを楽しめる「ニュー ミー コレクション」の体験に挑戦してもらい、マスク生活で悩んでいたアイメイクについてカウンセリングを受けてもらいました。普段遠ざけていた色を多く使ったメイクに挑戦してもらったのですが、よりこなれた印象になり可愛かったです。
本橋:僕が印象的だったのは、「百貨店は敷居が高いイメージだったけど、意識が変わった」という言葉ですね。最近、百貨店や商業施設の取材で「目的意識が強い人が来る」とよく聞くのですが、裏を返すと「目的意識がない人は来ない」ということで。来店のきっかけを作ることがまず大事で、そのいいモデルケースになったと思いました。
新関:私も「カウンセリングを受けたことがなくて、すごく新鮮だった」というコメントをもらいました。カウンセリングを受けたら、すごく満足してもらえると確信したのですが、どうしても店の構えが厳かというか……。ブランドイメージを保ちつつ、「中に入ってサービスを受けよう!」となるためのきっかけをどう作るかですね。心理的ハードルを下げてくれるような店側のアクションがあるとうれしいです。
本橋:上質な店構えと敷居の高さって比例してしまいますよね。そういう意味では、阪神梅田本店は販売員さん個人が店舗や商品についてだけでなく、プライベートなことも自由に発信しています。その人にファンがついて、人の魅力で来店してもらい、店自体のよさも知ってもらうことにつながっているようです。そういう個人の発信は1つの有効な手段かもしれないです。